2016 Fiscal Year Research-status Report
非金属周期構造を用いた帯域的電磁波遮へい材の開発と医療電磁環境への応用
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15K06024
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
工藤 孝人 大分大学, 工学部, 教授 (60225159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花田 英輔 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90244095)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 医療電磁環境 / シミュレーション / 周期構造 / 電磁波遮へい |
Outline of Annual Research Achievements |
1.計算機シミュレーションの継続及び帯域的電磁波遮へい材の仕様策定(工藤): 平成27年度に引き続き,2次元及び3次元非金属フォトニック結晶構造による電磁波の反射・透過に関する計算機シミュレーションを実施し,バンドギャップの周波数特性及び空間特性のデータを取得した.このシミュレーションにより,帯域的電磁波遮へい材の試作品を作製するための仕様を一定程度,策定することができた.なお,データの取得及び解析には,研究代表者が所属する講座の学生に研究補助を依頼した. 2.帯域的電磁波遮へい材の試作(工藤,花田): 上記1で策定した仕様に基づいて帯域的電磁波遮へい材を試作するため,まず,兵庫県伊丹市の樹脂加工業者((株)光金型製作所)に誘電体材料とそのマイクロ波帯における誘電率,必要となる加工技術や精度等について調査を依頼した.残念ながら調査結果は芳しくなく,誘電体材料の選定及び加工方法の決定には至らなかった.次に,大分大学の産学官連携コーディネーターにも誘電体材料と加工業者に関する調査を依頼したが,現時点で回答を得られていない.このため,帯域的電磁波遮へい材の試作は平成28年度内に達成できなかった.以上の事情を鑑み,今後は試作品を自作する方向に研究計画を転換し,試作品の作製(業者依頼)に充てる予定であった研究経費で自作に必要な3Dプリンタを購入することとした. 3.研究成果の発表(工藤,花田): 国外開催の国際会議論文2編,国内開催の学会及び研究会等における講演論文9編の研究成果発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画のうち,帯域的電磁波遮へい材の試作が年度内に達成できなかったことから,やや遅れていると判断した.誘電体材料とその誘電率に関する調査は今後も継続する.なお,3次元計算機シミュレーションに関しては,解析結果の評価がやや不十分な点があり更なる検討を要するが,帯域的電磁波遮へい材の仕様策定に必要なデータを一定程度,取得することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の最終年度となるので,以下の計画を鋭意推進する. 1.帯域的電磁波遮へい材の試作の継続(工藤,花田): 帯域的電磁波遮へい材の試作品を自作する方向に研究計画を転換する.誘電体材料とそのマイクロ波帯における誘電率に関する調査を継続するとともに,試作(業者依頼)に充てる予定であった研究経費で自作に必要な3Dプリンタを購入する.研究経費の許す範囲で可能であれば,断面積や奥行きの異なる複数個の試作品を作製する. 2.試作品の特性評価実験(工藤,花田): 作製した試作品の電磁波遮へい効果について,周波数特性及び空間特性を実験により測定する.データの取得に関しては,電磁環境測定に精通した専門業者に委託する.実験に必要な測定機器及び電波暗室については使用頻度が低く,高価であるため借用する.測定委託先及び機器類の借用先は,竹中工務店技術研究所(千葉県印西市)を予定している.データの処理に関しては,研究代表者が所属する講座の学生に研究補助を依頼する. 3.遮へい材の医療電磁環境での活用に関する検討(工藤,花田): 特性評価実験の結果に基づいて遮へい材の改善点を把握し,医療電磁環境での具体的な活用方法について検討する.研究分担者(花田)の長年にわたる大学病院での無線通信導入・活用経験を活かし,電磁波遮へいの医療現場への現実的かつ効果的な適用方法を探求する. 4.研究成果の公表(工藤,花田): 本研究で得られた研究成果については順次,学会・研究会等で発表するとともに,論文誌等に投稿する.
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Causes of Carryover |
研究代表者(工藤)分(約862千円)については,計画していた業者委託による帯域的電磁波遮へい材の試作を実施できなかったことが第1の要因である.これを受けて,試作品を自作する方向に研究計画を転換し,自作に必要な3Dプリンタの購入を決定した.余裕をもって平成28年度内に購入手続を終える予定であったが,発注品と異なる機種を取扱業者が誤って納入したため,事後処理に時間を要し,年度内に会計処理を完了できなかった.これが第2の要因である.これらの理由により,物品費に未使用額が生じた. 研究分担者(花田)分(約193千円)については,国際学会での発表のための旅費としての支出を予定していたが,他の学会発表と日程が近いため連続での出張となり,そちらの学会のための別予算で出張した.このため,主として旅費に未使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究代表者(工藤)分については,単に会計処理が平成28年度内に完了しなかっただけであるので,平成29年度の予算が使用可能になり次第,直ちに会計処理を行って消化する. 研究分担者(花田)分については,学会等における研究成果発表を積極的に行い,その旅費に充てる予定である.
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Remarks |
(平成29年4月より,大分大学理工学部創生工学科電気電子コースに改組.)
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Research Products
(12 results)