2016 Fiscal Year Research-status Report
金属フォトニック結晶サブミリ波電磁波回路の合理的設計と3Dプリンタによる作製
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15K06037
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
穴田 哲夫 神奈川大学, 付置研究所, 名誉教授 (20260987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陳 春平 神奈川大学, 工学部, 准教授 (20440266)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 1.金属フォトニック結晶 / 点欠陥共振器 / 3. 狭帯域バンドパスフィルタ / ミリ波・サブミリ波 / 電磁波回路 / 6. 有限差分時間領域法 / フォトニックバンド構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
次世代高度情報通信社会(5G無線システム)の実現に向けて,超高周波を利用する無線通信技術の研究・開発・実装技術・高性能デバイスの開発と共に,新たな低損失材料の開発,信号伝送・処理技術などの確立が望まれている.筆者等は,このような超高周波帯におけるプラットホームとして金属フォトニック結晶を用いることを提案し,実際に電磁波回路の開発を行い,その一部はIEEE-IMS,EuMW等の国際会議で発表してきた.短ミリ波領域までは光波領域に比して金属の電気伝導度が十分に高いため,電磁波を閉じ込める材料としてマイクロ波周波数と同様に金属を電磁波回路に利用できることを確認してある.また金属フォトニック結晶(以下MPhC)で構成された電磁波回路は,誘電体フォトニック結晶(DPhC)と比較して少ない周期構造で電磁波を強く閉じ込めることができる上,これまで蓄積された導波管回路の設計理論を活用することができる.したがって,より実際的なMPhCによるフィルタなどの電磁波回路を研究することは意味あると考える.ここではMPhCによる点欠陥共振器の最低次共振モード(モノポールモード)を用いた狭帯域帯域通過フィルタ(以下BPF)をマイクロ波フィルタの設計に一般的な結合マトリックス理論を用いてMPhC狭帯域BPFの設計の見通しを得た.研究成果の一部は,MPhCによる点欠陥共振器の第一共振モードのモノポールモードおよび変形モノポールモードを用いた狭帯域帯域BPFをR. J. Cameronによって展開された結合マトリックス理論と結合スキームに基づいて金属フォトニック結晶狭帯域2段および3段帯域BPFの提案と結合マトリックスによる設計を試みたので報告する.点欠陥共振器の数値シミュレーションの有効性を確認するために、点欠陥共振器を実際に作製し,ネットワークアナライザー(Agilent E8361A)に接続することにより、共振特性を測定し,Q値を評価した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数値シミュレーションの妥当性,計算精度などを確認するために,波動方程式にスケーリング則を適用し,マイクロ波帯での多点欠陥共振器の実験を通して,実際的な多段且つ急峻なスカート特性を持つ減衰極を有する狭帯域バンドパスフィルタの設計の見通しを得ることができた.なお、結合マトリックス理論に基づいてBPFを実現し,その一部は,ヨーロッパ・マイクロ波国際会議(EuMW2016,2017)に採録され,今期も10月に発表予定(Session EuMC43,Oral, Advanced Dielectric Resonator Filters)である.
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Strategy for Future Research Activity |
数値シミュレーションの妥当性を確認したので,ミリ波・サブミリ波帯の金属フォトニック結晶超小型電磁波回路の設計を通して,合理的設計手法の確立と実装・応用の両面から研究を推進する.即ち、マイクロ波帯において必要な伝送回路素子である電力合成・分配器,方向性結合器,ラットレース回路,信号の合成・分配器,移相器などの基本回路構成に幅広く適用でき,能動素子と受動素子をシリコン半導体基板上に一体化して構成できるという特徴を有している.このように短ミリ波帯においても必要な回路素子をフォトニック結晶のプラットフォーム上に実現することを目指す.なお,最終年度は研究成果のまとめと成果報告とする.また電子情報通信学会のマイクロ波研究会,シミュレータ研究会等での研究発表を含めて,IEEE IMS,EuMWのマイクロ波・ミリ波国際会議での発表,企業との連携による実装技術の確立、さらに合理的設計理論などを公開する. ところで,120GHz帯において,ミリ波固有の問題としてメタル使用の回路(伝送線路を含む)の細線化による損失低減,工作精度,設計精度,測定確度の向上は不可避である.この部分を周期構造の微細構造回路に作製可能なEBG(フォトニックバンドギャップ)を採用することで,従来の内部全反射による閉じ込めでは実現できなかったPBGによる電磁波の自由な制御を可能とする回路構造を提案していくことが今後の課題である.
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Causes of Carryover |
金属フォトニック結晶共振回路を実際に作製し,複数個の回路作製を計画したが,3つの回路作製には費用不足のため,次年度に持ち越した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越し金はおおよそ7万円である.金属フォトニック回路を作製予定である.残りは今年度の学会発表に充てる予定である.
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