2016 Fiscal Year Research-status Report
圧電装荷マイクロ流路素子の開発とレーザ誘起衝撃波・電界パルス印加による遺伝子導入
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15K06038
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
會澤 康治 金沢工業大学, 工学部, 教授 (40222450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小木 美恵子 金沢工業大学, 基礎教育部, 教授 (50410288)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | レーザ誘起創発的応力波 / ナノ秒パルスレーザ / ヒト細胞 / 遺伝子導入 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,導入細胞の動きを空間的に制限した状態でレーザ誘起衝撃波・電界パルスを同時印加できる「光吸収層を持つ圧電体を装荷したマイクロ流路素子」の開発とヒト細胞への遺伝子導入効果の実験的検証を目的に行っている. 研究代表者らは有限時間領域差分法を用いて解析空間と遺伝子導入実験系を対応させる三次元モデル(総格子数が125,000 grid,音圧源水平方向の面積が4平方mm以上,音圧源法線距離が2.31 mm) において時間離散間隔を2.44 ns,空間離散間隔を44 nmとして計算を行った.解析結果から音源に対して水平方向の速度ベクトルの大きさは,音源に垂直な方向のそれに対して10%程度であることがわかり,これはせん断応力を細胞に与える可能性が示唆された.また電極間に働く電界強度を計算し誘電泳動力を求めたところ,電極形状の工夫によって接着細胞の接着強度と同程度の誘電泳動力を細胞に作用できることもわかった.さらに圧電センサをLCRメータ(NF, ZM2353)とRFネットワークアナライザ(Agilent Technologies,E5062A)で解析し,等価回路定数と下限周波数(-3 dB)が180 Hzであることを明らかにした. 研究分担者は,低エネルギーパルスレーザ誘起創発的応力波を用いて,ヒトの皮フ由来の線維芽細胞へ緑色蛍光たんぱく質の遺伝子を組み込んだプラスミドDNAの導入実験を行った.その結果,細胞に加わる応力波が強いほど導入率が高く,播種時細胞数が6万個の場合に導入率が最も高い(7.06 %)ことがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は「圧電体を装荷したマイクロ流路素子」の設計と最適化のために,音波伝搬シミュレーション,電界シミュレーション,および圧電センサ回路の解析などを行った.また昨年度構築したレーザ実験系を用いて遺伝子導入実験も行った.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,最終年度であるため,研究代表者と研究分担者らは「圧電体を装荷したマイクロ流路素子」の実証実験を行い,その効果を明らかにする.また昨年度は実験の過程で誘電泳動力による浮遊細胞の固定・解除などの状態制御の可能性が示されたことから今後は,浮遊細胞に対する新たな遺伝子導入法「静電制御細胞トラッピング衝撃波照射法」を考案し,予備実験を本研究と並行して実施する.
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Causes of Carryover |
昨年度中に細胞評価法がある程度確立できたため,当初の予定していた予算より少ない金額で実施ができた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は主に細胞評価を含めた消耗品代に充てるが,成果発表や旅費に関する支出が予算額を上回る場合,次年度使用額の一部をこれに充てる予定である.
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