2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K06048
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
谷本 洋 北見工業大学, 工学部, 教授 (20322886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉澤 真吾 北見工業大学, 工学部, 准教授 (20447080)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 確率的フラッシュAD変換器 / 統計的アナログ信号処理 / 動的素子整合手法 / 偶高調波ミクサ / 時間-デジタル変換器 / ΔΣ変調器 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.確率的フラッシュAD変換器(SFADC)関係:前年度に試作投入した試作LSIが完成し,評価の結果機能動作を確認した.これは正規分布から一様分布を合成する方式による世界初の試作チップである.5ビット分解能の設計値に対して3ビット弱の分解能に留まり,数百MHzを目指したサンプリング周波数はキックバック雑音が大きく,動作はするものの分解能を最大とするには数十MHzまで動作速度を下げざるを得なかった.ダイナミックエレメントマッチング手法(DEM)を動作させると却ってスプリアスが発生し,入力への結合があると推定された.試作チップは完全ランダムDEMを採用したが動作速度が遅いという欠点が明らかになり,より高速動作可能なサイククリックシフトDEM法を発案した. これらはLSI試作によってはじめて明らかになったことであり,LSI試作の意義は十分果たされた.明らかになった問題点を改良するためDEM法および比較器のシミュレーションによる設計検討を行い,2次試作チップの回路設計及びレイアウト設計を行った.テープアウトは2月に完了し,2次試作LSIは6月に完成・入手の予定. 2.周波数変換機能を有するAD変換器関係:前年度に提案して設計した試作チップが完成し,評価の結果機能動作を確認した.歪が大きいこと,位相検波器動作速度が全体の動作速度を支配していること,スプリアスが大きい等の問題点が明らかになった.評価結果は電気学会電子回路研究会で発表し,優秀論文発表賞を受けた. 評価結果を反映した改良設計を行い,2月にテープアウトした.6月に試作LSIが出来上がる予定. 3.上記ダウンコンバーティングAD変換器のネックは位相検波器の非線形・非対称性である(高速動作させるほど劣化する)ことを明らかにし,位相検波器を用いない新方式を発案した.次年度のLSI試作を目指してシミュレーションによる設計検討を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.確率的フラッシュAD変換器に関して:平成28年度に予定していたLSIの設計・試作を予定通り実施した.試作LSIの詳細な評価により機能動作を確認し,問題点を明らかにした.評価結果をもとに,2次試作LSIのための改良設計を完了させたことから,本研究の中心的な課題は順調に進展していると判断する. 2.周波数変換機能を有するAD変換器に関して:当初の研究計画にはなかったが,本課題から派生した「周波数変換機能を有するAD変換器」のLSIを設計・試作し,その評価により提案AD変換器の機能動作を確認した.この評価結果を国内研究会で発表し,大きな反響を得た. 3.上記2.の方式の性能上のネックが位相検波器にあることから,位相検波器を用いない新規な「周波数変換機能を有するAD変換器」を発案し,次年度のLSI試作を目指してシミュレーションにて良好な性能を確認している.
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Strategy for Future Research Activity |
1.「確率的フラッシュAD変換器」および「周波数変換機能を有するAD変換器」を搭載した2次試作LSIが6月末に納品される予定であり,これらの評価により最終試作LSIの設計に反映させる. 2.「確率的フラッシュAD変換器」については,量子化雑音が通常のAD変換器とは異なり,一様分布でないことおよび入力信号との相関が大きいことが我々の研究により明らかにされつつある.とくに後者は信号処理上問題が大きいので,入力信号と量子化雑音の相関を低下させる方法を検討する.予備的な検討でダイナミックエレメントマッチング手法が効果的なことがわかったが,より簡易なディザ手法でも同様の効果が期待されるので,今後はディザ手法の検討も行う. 3.「周波数変換機能を有するAD変換器」に関しては,位相検波器を用いない手法を発案したので,以前提案した手法の研究は2次試作LSIの評価を以ていったん終了し,今後は位相検波器を用いない新手法の研究に注力する.具体的には最終試作(3次試作)で新方式の試作ができるよう,設計の準備を進める.
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Causes of Carryover |
次年度使用額はLSI試作費用に相当する金額である.試作の発注はH28年度に完了しているが,試作LSIの納品と支払いの派生がH29年度6月であるため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定通り,LSI試作費の支払いに充てる.
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Research Products
(7 results)