2015 Fiscal Year Research-status Report
生体内電波伝搬に関する統合的研究とボディエリア通信への応用
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15K06054
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| Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
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Principal Investigator |
青柳 貴洋 東京工業大学, 大学院社会理工学研究科, 准教授 (10302944)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | 生体内電波伝搬 / ヘルスケア・医療 / メタボリックシンドローム / 脂肪量の推定 / 複素比誘電率測定 / ボディエリアネットワーク / 予防医学 / 測定法 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は生体内電波伝搬について研究を行うものであり、最終的な目標は一般的な体内電波伝搬モデルを構築するものであるが、一般的なモデルが対象とするパラメータ(周波数、使用アプリケーションなど)は多岐にわたるため、最初の段階としては医療またはヘルスケアの観点から有用と思われるアプリケーションに着目しその電波伝搬特性について明らかにするとともに具体的な応用の実現性について検討するものとした。具体的には最初のアプリケーションとして、「マイクロ波による体内脂肪量の推定」を対象とし、生体内、特に腹部における電波伝搬を明らかにするとともにヘルスケアにおいて有用な腹部脂肪量の推定(メタボリックシンドロームの予防)の実現を検討した。生体内の電波伝搬は実際に実験を行うことが非常に困難であることから、まず、コンピューターソフトウェアにより、生体内の電波伝搬の電磁界シミュレーション計算を行った(シミュレーションには市販の有限要素法ソフトウェアであるCOMSOL Multiphysicsを使用)。
また、測定手法としては既に生体組織の誘電率測定として実績のある貫通導波管法を腹部に適用することとした。生体の脂肪と筋肉組織等そのほかの組織との誘電率が大きく異なることから、この手法で腹部の複素比誘電率を計測することにより腹部の脂肪量を推定できると考えられる。まず、この手法で様々な周波数において計測のシミュレーションを行い、どの周波数が測定に有効かについて検討した。その結果、導波管サイズの必要性から500MHz帯のマイクロ波が測定において適していることを明らかにした。次に、この周波数帯において、シミュレーションにおける腹部の大きさや、筋肉と脂肪の比率などを様々に変えて計算を行い、計算結果の散乱定数において確かに条件の違いにより違いが生じることが明らかになった。この結果を逆問題として解くことにより、腹部脂肪量が行えると考えられる。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は生体内の電波伝搬モデルを構築してさらにそれをボディエリアネットワークへ応用しようとするものである。平成27年度の研究計画については、まず具体的な一つのアプリケーションとしてマイクロ波による内臓脂肪量の推定に関する研究を行った。当初の予定通り、コンピュータシミュレーション計算により本測定手法を理論的に検討し、実際の計測に必要となる周波数帯域、導波管のサイズの条件を導出することができた。また、これらのパラメータを使って計測した散乱係数が腹部や脂肪、筋肉の量により変動することを確認し、逆問題を解くことにより腹部の脂肪量の推定が行える可能性を確認することができた。本アプリケーションの最終的な到達点は、実際に測定可能な測定計を構築することにあるが、平成28年度以降の研究において実際に試験的な測定が可能な導波管を試作するために必要な基本的パラメータを得ることができた。
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| Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は3年計画であり、具体的なアプリケーションの検討から一般的なモデルの構築を行うという手順で研究を進めていく。初年度の研究成果がおおむね研究計画通りのものが得られたことから、平成28年度、平成29年度については以下のように研究を進める予定である。
平成28年度: 初年度にシミュレーション計算をおこない、試作のために必要なパラメータがおおむね明らかになったため、本年度は具体的な試作のために必要なパラメータのチューニングをシミュレーション計算で行うとともに、得られたパラメータで試作導波管を作成し、実際の測定を行う。当初計画では生体の測定を行うことにしていたが、いきなり生体を測定することは倫理委員会の承認を得るなど複雑なプロセスがあり個人差が大きいと考えらられるためまずは生体の電気定数を模擬したファントムについて測定実験を行う。これによりシミュレーション計算結果の確認が行えるとともに、実際に実験を行った場合の問題点について具体的な検討を行うことが可能となる。実験結果をもとに、測定パラメータの調整をシミュレーション計算へのフィードバックを行う。また、得られた実験結果から、体内電波伝搬モデル作成についての基礎的な検討も行い、次年度のモデル作成につなげる。
平成29年度: 本年度は、試作した導波管の改良と実際に生体を使った実験を主な目標とする。前年度までに実験におけるパラメータはほぼ確定しているはずであるので、本年度は倫理委員会の承認を得た上で実際に被験者をとりデータを収集することが主となる。得られたデータから生体内電波伝搬のモデル化とその具体的なアプリケーションとして腹部脂肪量推定の実用化についても検討する。
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