2016 Fiscal Year Research-status Report
多次元送信ダイバーシチを用いたMIMOレーダによる目標物の高性能センシング技術
Project/Area Number |
15K06060
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
菊間 信良 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40195219)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | MIMO / レーダ / アンテナ / 複合送信ダイバーシチ / 波源位置推定 / 角度広がり推定 / 反射係数推定 / 送信マルチビーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,MIMO (Multiple-Input Multiple-Output)レーダの送受マルチアンテナを用いて目標物の位置と広がりを検出するための高分解能・高性能・高効率なセンシング技術の研究開発を行った.MIMOレーダを用いた目標物の位置と広がり推定が可能となれば,車の自動運転を支える車載レーダ等において,その有用性・有効性はかなり高いと言える.平成28年度の具体的な成果を以下に記載する. (1) 近傍波源の位置推定アルゴリズムの改良:昨年度から引き続いて,近傍の電波源(反射物)の位置を推定する手法の改良を行った.複数ターゲットが角度的に接近した場合など,従来では分離が困難であった状況で推定精度を向上させるアルゴリズムを提案し,特性解析を行った.その結果,その有効性を確認した.また,アンテナの相互結合が推定に与える影響を解析した.波源が非常にアンテナに近いところにある場合,相互結合が角度推定精度向上に有効に働くことが分かった.今後はこの現象の詳細検討と解明を行う. (2) 複合送信ダイバーシチ技術の導入によるMIMOレーダの性能向上:MIMOレーダの性能向上のため,昨年度から引き続いて,送信側の角度領域,符号領域複合ダイバーシチ技術について検討を行った.また複合送信ダイバーシチ用の推定アルゴリズムを考案した.この手法の特徴として,マルチビームを形成してターゲットに集中的に電波を照射することが挙げられるが,このアルゴリズムによって,ターゲットの方向推定精度のみならず反射係数(反射信号強度)の推定精度も向上することが示された. (3) ターゲットの到来方向と角度広がり推定の同時推定:全方位に対して推定できるようにアレーアンテナを直線アレーから平面アレーに拡張し,推定アルゴリズムの改良を行った.検討の結果,全方位で精度良く到来方向と角度広がりを推定できることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高分解能到来方向推定法を用いて目標物の到来方向と角度広がりを精度良く推定することが出来ている.特にアレー形状を直線から平面に拡張した結果,全方位で推定することが可能となった.また,波源位置推定についても従来,推定が困難であった状況での推定ができるようになり,改良が順調に進んでいると言える.複合送信ダイバーシチの導入については,符号領域ダイバーシチに加えて角度領域ダイバーシチとしてターゲットにマルチビームを照射する手法の特性解析に注力してきた.特に,送信マルチビームの配置の仕方(ビーム数とビーム角度間隔)と推定精度との関係を検討し,有効で今後の発展につながる知見を得ている.更にそのダイバーシチ方式に適合するアルゴリズムの考案により,推定精度が向上することも確認できた.
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Strategy for Future Research Activity |
複合送信ダイバーシチの導入については,さらに周波数領域や時間領域のダイバーシチを導入し,MIMOレーダの性能向上を確認する.特に送信信号としてOFDM(直交周波数分割多重)信号を用いることを考えており,これによりMIMOの周波数領域への拡張が効率よく行われるので,期待するところが大きい. 到来方向と角度広がり推定については,平面アレーアンテナを用いた推定アルゴリズムの改良を継続的に行っていく.方位角と仰角の2次元到来角推定において角度広がりが同時推定できるところが最終目標である.基本アルゴリズムとしては非探索型のDOA-Matrix法を用い,必要に応じて改良を行っていく. 近傍波源位置推定においては,解析用パーソナルコンピュータ上での電磁界解析ソフトウエアを用いた検討に加えて,2.4GHz帯(ISMバンド)で電波暗室内実験を行う.それ故,平成28年度までに製作した送受信アンテナと周波数変換器を必要に応じて再調整し,測定のための治具を製作した後,実験的に近傍波源位置推定法の検証を行う.特にアンテナの相互結合の影響が推定精度にどのように表れるのかを実験を通して確認する予定でいる.その上で,提案手法の改良へとフィードバックする.
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Causes of Carryover |
消耗品を含む物品費の中の一部は本研究費から使用しなかった.実験環境の整備および設備品の保守費など次年度に必要性が高まるとみて次年度使用とした.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費としては,暗室内実験用コンピュータネットワーク装置の購入やアンテナ製作用の部品・材料等の消耗品を購入する.加えて,旅費として国内および外国の研究成果発表に使用する予定である.その他,印刷費,論文投稿料などが挙げられる.
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Research Products
(20 results)