2015 Fiscal Year Research-status Report
透過型メタサーフェス板を前置した低姿勢アンテナ構造体による多偏向ビーム形成
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15K06087
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
中野 久松 法政大学, 理工学部, 教授 (00061234)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | チルトビーム形成 / メタサーフェス板 / 周期配列素子 / 金属正方形ループ |
Outline of Annual Research Achievements |
超表面(メタサーフェスとよぶ)の特性を利用した、新しい機能を有する電磁波通信機器が国内外で開発されつつある.本研究では、「透過型メタサーフェス板」を創造し、これを給電アンテナ前方に配置することで、所望の1方向に1つ、あるいは異なる複数の方向に、それぞれ、1つの電磁波ビームを放射できるように、新たなアンテナ構造体を実現する.その際、薄型・低姿勢構造体の構築を目指す.本構造を実現するために、1)「周期的に配列された新たな素子から成るメタサーフェス板」の電磁界特性を明らかにし、2)メタサーフェス板の電磁界と給電アンテナからの放射界とを考慮して、1つ、あるいは複数の電磁波ビームを放射させるために、周期配列素子の最適構造と配列法を解明する.
今年度は、透過型メタサーフェス板を励振する給電アンテナとして、直線偏波用正方形パッチを採用し、その放射特性を解明した.本パッチは単方向ビームを有し、利得5.5dBiとなっていた.さらに、波長に比べて小さな金属正方形ループ(外周L、線幅W)を多数個配列して1層の透過型メタサーフェス板を構成した.金属正方形ループの外周Lを固定し、線幅Wを変動させた場合の解析を遂行した.線幅Wがすべて等しいとき放射ビームは基板に垂直な方向に形成されることを明らかにした.この垂直ビームは基板面上の電界位相分布を変えることによりチルトする.金属正方形ループの線幅を段階的に変えると、位相分布が変わり、高利得の一方向チルトビームが得られることを見出した.これに基づき、金属正方形ループの線幅を調整し、33度のチルト角で16.4dBiの利得を達成した.この構造での放射パターン、ビーム方向、VSWRの周波数特性の詳細を明示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
透過型メタサーフェス板(T-MS薄板)を励振するための給電アンテナを、中心周波数8 GHzで動作する様に設計した.給電アンテナとして、直線偏波用正方形パッチを採用した.放射パターン、利得、入力インピーダンスに関する理論値を収集した.
同時に、波長に比べて小さな金属正方形ループ(外周L、線幅W)を多数個配列して1層及び2層のT-MS薄板を構成した.周波数7 GHz から9 GHz(中心周波数8 GHz)の電磁波が、T-MS薄板に入射した場合の基礎特性(透過係数、反射係数、薄板上の電界分布)を求めた.このとき、外周Lを固定し、線幅Wをパラメータとした.定量化のための、計算プログラムを作成した.同様のことを金属長方形ループに対しても一部遂行し、基礎特性を定量化した.定量化された基礎特性を実験により確認した.
上記の結果を基にして、一偏向ビームを放射する『T-MS薄板前置アンテナ構造体』を検討した.ただし、この段階では、T-MS薄板の枚数を1枚とし、給電アンテナを直線偏波パッチアンテナとしている.このとき、T-MS薄板を、構造値の異なるループ素子の配列によって構成し、偏向ビーム最大角33度を得た.さらに2偏向ビームについても一部検討し始めた.
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Strategy for Future Research Activity |
給電アンテナを直線偏波用アンテナとした2015年度の2偏向ビーム放射について、実験を開始する.実験結果を理論値と比較し、理論の妥当性を検証する.必要であれば理論に修正を加える.偏向ビーム最大角40度が達成されていること、利得が12 dB以上、入力定在波比が2以下であることを確認する.
新たに、給電アンテナを円偏波アンテナとした場合の、2偏向ビーム放射について実験を開始する.実験結果を理論値と比較し、理論の妥当性を確認する.ただし、給電アンテナの前面に装荷するT-MS薄板を1枚とする.実現可能な最大偏向ビーム角が40度、入力定在波比が2以下、および、2偏向ビームの円偏波率が3 dB以下であることを確認する.
以上の結果をふまえて、4偏向ビーム放射の検討に入る.使用するT-MS薄板を1枚として初期的検討を行う.この場合の『T-MS薄板前置アンテナ構造体』に関する電磁界理論を構築する.2015年同様、計算プログラムを作成し、アンテナ構造体を解析する.4偏向ビーム放射とFabry-Perot現象を可視化する.
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Causes of Carryover |
謝金の使用が発生しなかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越金については,2016年度の実験材料等、消耗品に充当予定である.
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Research Products
(8 results)
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[Presentation] Metaspiral antenna system2015
Author(s)
H. Nakano, T. Shimizu, and J. Yamauchi
Organizer
2015 International Symposium on Antennas and Propagation
Place of Presentation
Hobart, Tasmania, Australia
Year and Date
2015-11-09 – 2015-11-12
Int'l Joint Research
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