2016 Fiscal Year Research-status Report
高機能誘電体レドームを搭載したミリ波レーダ用アンテナの開発と設計法に関する研究
Project/Area Number |
15K06093
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Research Institution | Akita National College of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 桂一 秋田工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (20290702)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 誘電体レドーム / トポロジー最適化 / 最適化設計 / 3Dプリンタ / FDTD法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は,アンテナ開口面を保護し,アンテナの効率を改善可能な任意形状の高機能誘電体レドームを開発し,その形状を最適化する方法を確立することである。平成28年度はトポロジー最適化手法の確立と任意形状のレンズを製作するために3Dプリンタを導入した。 トポロジー最適化による誘電体レドームの形状設計の課題は,設計の自由度が高いが故にボクセルがチェッカーボード状に配置されてしまうことが多く,試作が困難となることであった。そこで,本研究ではガウス基底を用いたガウシアンネットワーク(NGnet)を設計に応用し,設計手法の有効性および効率化について検討した。 設計性能を評価するために,指向性アンテナを設計することを目的にビーム幅の狭小化するように誘電体レンズの最適化を行った。NGnetを導入したにより,まとまりがあるレンズ形状が得られることを確認した。さらに,中空構造などの従来にはないユニークな形状が得られることを示した。また,計算リソースが多く必要となることが課題であったが,計算方法を工夫することにより,計算時間は劇的に改善された。 次に,3Dプリンタをレンズ試作に用い,従来型の加工方法であるマシニングセンタとの比較を行った。ミリ波ホーンアンテナの指向性を広角化するレンズの設計をFDTD法を用いて行い,実際に試作して,放射パターンの測定を行った。3Dプリンタ製のレンズはマシニングセンタ製と比較しても同等の性能を有し,加工時間については大幅に改善されることが分かった。また,3Dプリンタで加工することにより任意形状レンズの製造も可能であることを示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トポロジー最適化による誘電体レドームの設計および加工方法について目途を立てることができた。パソコンでは計算負荷が高いため,スパコンによる計算を行っている。計算コストがかかり過ぎることが課題であったが,計算を間引くことにより大幅に計算時間が短縮され,設計の試行がより容易になった。 また,ミリ波測定環境についてもコンパクトレンジ測定環境の構築に加えて,課題となっていたミリ波位相測定システムを構築し,予備実験まで行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
トポロジー最適化による誘電体レドームの設計手法について,いくつかの設計事例を基に提案手法の設計性能について明らかにする予定である。 また,設計によって得られたボクセルデータをCADデータに変換し,3Dプリンタなどによる加工を行う。 ミリ波位相測定についても実験を通して基礎データを蓄積し,位相測定の可能性について検討する。 最終的にはミリ波における透過,反射特性の測定を行い,試作したアンテナおよびレドームの性能評価に応用する予定である。
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Causes of Carryover |
研究成果発表のための論文掲載料が当初の見込み額よりも大幅に減額されたため差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度になるため主に成果発表のための旅費および論文投稿料に使用する予定である。電磁界解析と数値計算に関する国際学会への投稿を予定している。
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