2016 Fiscal Year Research-status Report
血液凝固過程の動的細胞観測のためのリアルタイム3次元定量位相顕微鏡の開発
Project/Area Number |
15K06098
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
船水 英希 室蘭工業大学, 工学研究科, 准教授 (90516486)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 血液凝固 / ディジタルホログラフィ / 顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,止血機構や脳卒中・心筋梗塞の原因となる血栓症において重要な血液凝固過程を,広視野かつ非破壊・非侵襲にリアルタイム3次元観測が可能な定量位相顕微鏡であるディジタルホログラフィック顕微鏡(DHM)を用いて,血液細胞により血管内で生じる血栓の3次元凝集構造と血栓形成時間により高確度・高精度な血液凝固診断システムを構築し,開業医レベルで導入可能かつ集団検診や在宅健康診断による早期診断・早期発見に最適で低コストな可搬装置の設計・開発を目的としている.
平成27年度は,基礎的実験および解析プログラム開発のために,DHMによる赤血球の観測を行なった.平成28年度では,前年度の研究を基礎として,血液凝固現象をリアルタイムに可視化するための実験方法の確立を行った.まず,血管内部での血液凝固現象を模擬するために,新規購入したフローセルに血液と凝固促進剤を注射器で注入して,毛細管現象により流れ場を生成する.この流れ場のホログラム動画をCCDカメラにより取得し,平成28年度に作成した解析プログラムを適用することで血液凝固現象のリアルタイムな3次元的可視化を実現した.また,凝固構造の3次元的定量評価には,一般的な濃淡画像の特徴抽出法であるモーメント,フラクタルおよびテクスチャ解析などを適用する予定であったが,上記の実験法の確立のために予定よりも時間がかかったため,平成29年度でも引き続き解析を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の実績報告書に記載した理由から,除振台を購入した.申請時に購入予定だったCCDカメラは若干低スペックではあったが研究室で以前購入したものを使用した.また,自動移動ステージは血液の流速を一定に保つために新規購入予定であったが,代わりにフローセルの毛細管現象を利用して,観測時間内での流速の維持を実現した.それ以外は,申請時の内容をほぼ達成しており,順調に研究を遂行している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に申請した前倒し支払請求をしたが,今年度に必要な物品を早期購入するためのものであるため,今年度の研究に影響はない.研究はおおむね順調に進んでおり,平成29年度は申請書通りに研究を遂行する予定である.
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Causes of Carryover |
申請書を作成した当初と,実際に購入する際の価格の誤差が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の消耗品費として用いる.
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Research Products
(10 results)