2015 Fiscal Year Research-status Report
RGBカメラによる術中リアルタイム脳組織オキシメトリーイメージング装置の試作研究
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15K06105
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
西舘 泉 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70375319)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小久保 安昭 山形大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40343074)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脳局所酸素飽和度 / 脳機能イメージング / 脳血流 |
Outline of Annual Research Achievements |
光源、リングライトガイド、偏光板、カメラレンズ、RGBカラーCCDカメラ、光学部品固定装置及び動画像取り込み用PCにより、動画像取得装置の構築を行った。脳表のRGB動画像から脳組織中の酸素化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンを個別かつ連続的に計測し、脳局所酸素飽和度を推定する方式を開発した。(1) RGBの3応答量からXYZ表色系を介して脳組織の酸素化ヘモグロビン量と脱酸素化ヘモグロビン量を推定する変換マトリクスを作成した。(2) 酸素化ヘモグロビンおよび脱酸素化ヘモグロビン量の割合から脳局所酸素飽和度を推定する変換マトリクスを作成した。この作成には重回帰分析を利用した。(3) 酸素化ヘモグロビンおよび脱酸素化ヘモグロビン量の和から総ヘモグロビン量を算出し、単位時間当たりの脳局所酸素飽和度を定量的に計測する推定式を確立した。開発したアルゴリズムを基に脳局所酸素飽和度の2次元表示を行なうためのWindowsプログラムを作成した。開発したアルゴリズムと計測システムの動作確認を行うために、ラットを用いた動物実験を行った。吸入酸素濃度FiO2%に0~95%の範囲内で変化を与えた実験を行った。吸入酸素濃度FiO2%を段階的に変化させるに従い、脳局所酸素飽和度はそれに追従するように変化を示した。特に、低酸素状態と呼ばれるFiO2%=18%以下の条件下では、組織酸素飽和度の低下は急激であり、従来の生理学的知見と一致する結果が得られた。以上の結果から、脳局所酸素飽和度が首尾よく計測・イメージング可能であることを確認した。研究成果の一部について国内学会および国際会議にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、脳表のRGB動画像から脳組織中の酸素化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンを個別かつ連続的に計測し、脳局所酸素飽和度と脳組織酸素代謝率を推定する方式を検討した。(1) RGBの3応答量からXYZ表色系を介して脳組織の酸素化ヘモグロビン量と脱酸素化ヘモグロビン量を推定する変換マトリクスを作成し、(2) 酸素化ヘモグロビンおよび脱酸素化ヘモグロビン量の割合から脳局所酸素飽和度を推定する変換マトリクスを作成した。この作成には重回帰分析を利用した。(3) 酸素化ヘモグロビンおよび脱酸素化ヘモグロビン量の和から総ヘモグロビン量を算出し、連続的にイメージング可能であることを確認した。脳組織酸素代謝率を算出するために必要な血流量の算出については、当初予定していた脈動を利用する方式は現有のカメラのフレームレートでは難しいことが明らかになったことから、別の方式を検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
脳組織酸素代謝率を算出するために必要な血流量の算出方法について、カメラのフレームレートに依存しない新しい方式を検討する。具体的には、現有のズームレンズよりも高倍率のレンズとイメージサイズの大きいCCDカメラを導入し、撮像視野の高分解能化を図る。これにより、細動脈血管内を流れる赤血球の個々の動態を捉える。赤血球の時空間的変化から移動速度を算出し、脳表組織内の血流量を算出することを試みる。
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Causes of Carryover |
H27年度に、開発した組織酸素飽和度可視化アルゴリズムと計測システムの動作確認を行うために、ウマ血液と酸素・窒素混合ガスを用いた実験を行う予定であったが、混合ガスによるバブリングにより血液リザーバタンク内で予期せぬ多量の気泡が発生し、組織酸素飽和度計測に支障をきたすことが明らかとなった。そのため、計画を変更し、気泡の除去を確実に行う実験系を新たに作成することとしたため、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
このため、消泡剤を用いた血液灌流系の作成と酸素飽和度計測システムの動作確認を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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