2015 Fiscal Year Research-status Report
曲面鉄鋼構造物の在姿応力評価を可能にする表面SH波音弾性システムの開発
Project/Area Number |
15K06107
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
村田 頼信 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (50283958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤垣 元治 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40273875)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 超音波 / 音弾性 / 応力測定 / 曲面鉄鋼部材 / パイプ / クランク軸 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず,表面SH波音弾性の誤差要因の調査を行った.その結果,鉄鋼材料の材質に応じた温度補正係数や表面性状(表面粗さや表面うねり)の最適値が明らかになった.T形表面SH波センサを曲面鉄鋼部材の応力測定に応用する場合,その曲面の影響が測定精度に影響を及ぼすことが予想される.そこで,凸曲面および凹曲面における表面SH波の伝搬挙動を実験と数値解析により検証を行った.そして,パイプ鋼構造物で表面SH波を用いて応力評価を行うための測定条件や制限について検討した.その結果,凸曲面では,SH波の短絡成分の影響により表面SH波の伝搬時間測定に影響を及ぼすことを確認した.また,凹曲面では,曲率半径が小さくなるにつれて減衰が大きくなる傾向がみられた.そのため,短絡成分や減衰の影響を受けないように,曲率半径に合わせた送受信子間距離を決定し音弾性測定する必要があることがわかった. 次に,T形表面SH波センサを円柱面に対応できるよう新たに設計を行い,分離形と一体形の二種類のプロトタイプセンサを作製した.併せて,光学的計測技術により,鋼板の形状と変形(ひずみ)を同時に非接触で計測できるシステムを作製した.そして,これらのセンサに対し,薄板状の試験片を弾性範囲で曲げ変形させたときの負荷応力測定に対する音弾性法の適用を検討した.結果として,分離形センサでは,受信子間距離が曲率によって変化してしまう問題が明らかになったが,これを補正することによりひずみゲージに対し±10MPa以内の精度で負荷応力を求めることができた.一方,一体形センサでは,曲率によって受信子間距離は一定であるが,センサを設置する際に送信子の角度ずれが生じて十分な精度で応力測定ができないことがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
表面SH波音弾性の曲面部材への適用範囲拡大の前段階として,平面鉄鋼部材における誤差要因の調査を行った.また,表面SH波の曲面における伝搬挙動を数値解析で調べるだけでなく,送信と受信用の二つの表面SH波探触子を用意し,鋼板の長軸方向を円柱状に曲げ,曲率による表面SH波の伝搬速度測定することで数値解析との比較も行った.光学的手法を応用した非接触形状および変形計測システムを作製し,検証実験に活用した.さらに,二種類の曲面対応T形表面SH波センサを試作し円柱鋼材の応力測定に対し検討を行うことで,今後の研究展開に対して有用な知見を得た.以上のことから,当初の計画通り順調に研究が進行していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度得られた円柱鋼構造物の応力評価に対する測定条件や制限を考慮して,T形表面SH波センサを円柱鋼材に適用できるようにカスタマイズする.具体的には,未知の曲面部材に対しては曲面の形状を非接触で測定し,パイプなどの規格品に対しては規格寸法に応じて,クロスタイプのT形表面SH波センサ(それぞれの形状に適したT形表面SHセンサを,例えば,パイプ鋼材では周方向と長軸方向のそれぞれに直交に配置したセンサ)を開発すると共に実験によりその性能評価を行う.また,送受信感度や測定精度の向上を目的に,このセンサを用いた応力測定システムの最適化を図る.
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Research Products
(3 results)