2015 Fiscal Year Research-status Report
動的せん断歪みの時空間解析による内部欠損の3次元形状評価に関する研究
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15K06112
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
寺本 顕武 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70207489)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 非破壊検査 / ガイド波 / 動的せん断歪み解析法 / 時空間勾配解析 / 超音波 |
Outline of Annual Research Achievements |
構造物に応力腐食割れが発生すると, 疲労サイクルの増大に従ってその長さや深さが進行する. そこで亀裂や腐食の発生の初期の段階においてそれを検知する事が重要である. また, 経年使用にともない, 塗膜に発生した微小な傷を起点に錆が進行し, 腐食や塗膜剥離が発生する. これらも発生の初期の段階においてそれを検知する事が重要である. そのため, 従来より多くの手法による非破壊検査が行われてきたが, 中でも音響を用いた手法は最も古く, 多くの材質に対して最も一般的に用いられている. 音響による非破壊検査では, 縦波, せん断波, または両者が利用されてきた. しかしながら, 現在主流となっている超音波薄板探傷法は, 高い分解能を実現するため高い周波数の超音波が用いられており, 広面積の検査には高い時間コストを必要としている. そこで, 本研究は数十kHz~数百kHzの低周波数ガイド波に注目し, (1) 塗膜下で発生した腐食領域の形状の検出と (2) 塗膜の剥離領域の検出およびその形状の検出を実現した. また, それらの成果が専門誌に掲載された. 本手法は, 検出過程において検査対象表面上の個々の観測点近傍における検査対象表面の法線方向(z軸方向)とx軸方向に関する面外せん断ひずみとy軸方向に関する面外せん断ひずみ,の間の線形従属性のみを利用しているため, 波長とは関係なく, 欠損のシルエットを撮像することができる特長がある. そのため, 周波数によって位相速度が変化する分散性の波動場においても腐食の検出が可能である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では, ソフトとハードの両面からのアプローチにより,薄板材の弾性特性の定量化を行うことを目的として, (1)欠損および剥離を含む薄板材中の3次元弾性波動場の定式化, (2)動的面外せん断ひずみを全視野的に計測する光学系の開発 (3)微小欠損を取り囲む近接場解の定量的な評価 の 3つの目標を設定して研究を遂行している. (1)については, 伝搬するラム波の波長と比較して薄板材の厚さが薄い場合, A0モードとS0モードが支配的となり, 内部欠損で散乱される波動場が3次元的に近接場を形成し, それが表面にまでしみ出していることを明らかにした. また(2)については, 1方向の空間微分が可能な光学系を実現した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は, 目的 (2)動的面外せん断ひずみを計測する光学系の開発 に注力し, 今年度前半に完成させ, 動作の確認を行う. 開発する光学系は, 近接する逆位相の収束ビームをスキャンすることにより, 対象表面の面外せん断歪みをその場で計測できる特徴がある. さらに反射光をフーリエ面で検出し, 複素フーリエ係数の実部と虚部の値の比より, 歪み量を直接算出することを計画している.
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Research Products
(11 results)