2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K06155
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
野中 謙一郎 東京都市大学, 工学部, 教授 (30298012)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 制御工学 / 組込みシステム / 移動ロボット / モデル予測制御 / 分散制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
脚車輪型移動ロボットは脚と車輪を併せ持つ移動体で,脚による複雑な地形の踏破と,車輪による平坦な地形の高速移動を実現可能である.特に月面などの低重力下での運用が期待され,NASA/JPLのATHLETEなどの実証機の研究開発も行われている.しかし,レゴリスで覆われた脆弱な地盤での沈降を回避するために,車輪の荷重配分を考慮しながら,安全で効率の良い運動を実現する高度な制御が必要になる.非線形のモデル予測制御(MPC)はこれらの要求を満たす制御手法で,制約条件を考慮しながら実時間で最適制御を実現する.一方で宇宙空間などの極限環境では,頑強性や信頼性を重視した低速・低電力のCPUを使用する必要があり,一般に計算コストが高いとされるMPCの実装は容易ではない.そこで本研究では,MPCの計算を脚ごとに行う協調分散型制御により,計算量を大幅に削減する分散協調型のMPCのアルゴリズムの開発と実証を目的としている. 平成27年度は,平面脚車輪型移動ロボットを対象として,協調分散型制御則を構築した.また,立体型の脚車輪型移動ロボットのリアルタイムシミュレータの開発を行った.協調分散型制御則は,脚のダイナミックスと他の脚との幾何学的関係を制約としたモデルに対して,順次的にMPCによる最適化計算を行うことによって,次数を1/4に下げると共に,次数の2乗のオーダーで増加する総計算量の削減を図った.PC上の検証によって,計算量は4脚全てを制御対象としたモデルに対して半分程度の計算量で済むことを示した.また,シミュレーターについては,ATHLETEをモデルとしてDymola上で構築し,基本的な動作シミュレーションが実現されていることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平面脚車輪型移動ロボットを対象として,脚ごとにMPCを計算する協調分散型の制御則の構築と基本動作の検証は一通り終了して,一部は国際会議で発表済みで,実験まで含めた結果も学会誌に投稿済みなので,順調に進んでいると考えている.また,シミュレータについては,シミュレーション自体は行えるようになり,学会発表にむけた準備を行っており,順調に進んでいる.しかしながら,外部CPUとの通信システムが未完成で,引き続き取り組む必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は,協調分散型MPCの組込みCPUへの実装と検証,および,シミュレータの外部CPUとの通信や,脆弱地盤でのタイヤの沈降のシミュレーションの完成に取り組む.その後に,(1)平面脚車輪型移動ロボットの制御実験を行い,性能の検証を進める.(2)HILSによる立体型の脚車輪型移動ロボットのMPCのシミュレーションを行い,リアルタイム制御の実現性を示す.その後に,脆弱地盤でのタイヤの沈降のシミュレーションを実装して,MPCによる荷重配分制御の効果を確認する.
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Causes of Carryover |
立体型の脚車輪型移動ロボットのシミュレーションで用いるDymolaについて,当初はバージョン2015の買取を計画していたが,最新版を継続的に使うために,年間契約ライセンスに変更して,バージョン2016を購入した.その結果として支出額が低くなり,次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越額は平成28年度の補助金と合わせて,年間契約ライセンスで最新版のバージョン2017を購入する.
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