2016 Fiscal Year Research-status Report
非線形制御の誤差評価と性能保証:精度保証つき数値計算と2乗和多項式の適用
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15K06157
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
大石 泰章 南山大学, 理工学部, 教授 (80272392)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 非線形システム / サンプル値制御 / サンプル時刻間性能 / 安定多様体法 / Hamilton系 / 平均ベクトル場法 / 楕円制限三体問題 / 周期的システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,前年度の非線形サンプル値制御の研究成果を発展させるとともに,新たに非線形最適制御のための研究を開始した.成果は以下の通りである:1.非多項式システムの制御とサンプル時刻間性能の保障;2.非線形最適制御のための安定多様体法の改良;3.離散時間最適制御による宇宙機の軌道維持. 「1.非多項式システムの制御とサンプル時刻間性能の保障」では,前年度に開発した非線形システムのサンプル値制御法を拡張し,非多項式的なシステムに適用できるようにするとともに,サンプル時刻間の制御性能も保障できるようにした.いずれも評価関数の上界に基づく方法であり,評価が保守的になる危険性はあるが,適用対象が広がったことは意義があると思われる. 「2.非線形最適制御のための安定多様体法の改良」では,非線形最適制御の実用的方法として着目される安定多様体法に着目し,数値計算技術に基づく改良を行った.この方法では,非線形最適制御に関するHamilton系の時間発展を計算するが,ハミルトニアンを保存する平均ベクトル場法という数値解法を適用することで,計算を数値的にロバストにすることができる. 「3.離散時間最適制御による宇宙機の軌道維持」では,サンプル値制御の実応用として,宇宙機のハロー軌道への維持制御を研究した.楕円制限三体問題の枠組みでは,ハロー軌道周辺の宇宙機の動特性は周期的になるが,これを周期的離散時間システムとして表現し,対応するRiccati微分方程式を逆時間で解いて解が周期的になるまで時間発展させれば,最適制御法を求めることができる.数値実験によりこの制御法が良好な結果を与えることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非線形サンプル値制御について前年度に生まれた課題を解決するとともに,新しく安定多様体法の研究を始めることができ,今後の研究の展望が開けた.研究は順調に進行していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の成果をもとにしてさらに安定多様体の研究を進める.安定多様体法では,多様体をくまなく近似するような点列を試行錯誤的に求めているが,数値計算技術の適用によりこの点を改良できないか考える.また,サンプル値制御への発展も考える.
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Causes of Carryover |
今年度の研究成果は,その重要性を鑑みて,次年度に行われる IFAC World Congress で発表することにした.この国際会議は3年に1度行われる制御分野最大の会議であり,この会議で発表することによって研究成果を広くアピールすることができる.その一方で今年度は国際会議での発表を行わないことになり,研究費に余剰が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
余剰分の研究費は次年度の学会参加費に充当するとともに,実機実験のための備品を購入する.それ以外に計画に変更はない.
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Research Products
(5 results)