2015 Fiscal Year Research-status Report
入出力制約を有するマルチエージェントシステムの分散協調制御に関する基礎的研究
Project/Area Number |
15K06158
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
鷹羽 浄嗣 立命館大学, 理工学部, 教授 (30236343)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | マルチエージェントシステム / 分散協調制御 / 入出力制約 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.制約付マルチエージェントシステムに関する先行研究のサーベイおよび比較検討を行なう.この比較検討を通じて,本課題の位置付けを明確化した. 2.入力制約を有するマルチエージェントシステムは,各エージェントの入力チャンネルにリミッタ(飽和要素)を挿入することで,入力飽和システムとして扱うことができる. 入力飽和を有する線形エージェント群の無向グラフ(エージェント間通信が対称のネットワーク)上の分散協調制御(同期制御)において,相対状態フィードバックおよび相対出力動的フィードバックの場合に対して,それぞれ線形行列不等条件と双線形行列不等式条件による同期制御器設計法を提案した.これらの条件を用いれば,同期状態への引き込み領域を楕円筒領域で近似することができ,この惰円筒領域を最大化することによって,広い引き込み領域を実現できることを示した(SICE JCMSI, IEEE CDC2015にて発表).非対称通信のネットワークやエージェントダイナミクスが非均一の場合に対する結果は,研究中である. 3.入力端にセクター有界な非線形要素を有する線形エージェント群に対して,任意のセクター有界な非線形要素に対して同期を達成する相対状態フィードバック制御器の設計法を与えた(ICCAS2015で発表). 4.入出力制約を有する線形エージェントからなるマルチエージェントシステムの無向グラフ上の同期制御問題について考察した.まず,個々のサブシステムに対して,閉ループ系の時間応答軌道が入出力制約を満たすような状態ベクトルの不変集合(出力許容集合と呼ぶ)を楕円体で特徴づけ,この不変楕円体を構成する相対状態フィードバック制御則の設計法を提案した.得られた不変楕円体から,マルチエージェントシステム全体に対して,入出力制約と同期を同時に達成する出力許容集合を構成できることを示した.(第3回SICE制御マルチシンポ,第59回自動制御連合講演会で発表).
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
入力制約(飽和)の下での同期制御について,対称な通信(無向グラフ)の下での均一線形ダイナミクスのエージェントの場合の研究はほぼ完成した.非均一なエージェントダイナミクスの場合に対しては,「研究実績の概要」3.の結果が利用可能である.具体的には,3.で提案した設計法は,任意のセクター有界な非線形要素を許容しており,入力飽和要素もセクター有界であるので,非均一なエージェントダイナミクスの場合,非均一性を基準ダイナミクスからのセクター有界な誤差としてモデル化すれば良い.非対称通信(有向グラフ)の場合については,研究中である. 上記に加えて,「研究実績の概要」の4.で報告した通り,出力制約の下での分散協調制御についても,保守的な解析・設計ではあるが,いくつの予備的な結果を得た. 以上より,本研究は,おおむね順調に進んでいると言える.
|
Strategy for Future Research Activity |
1.入力制約(飽和)の下での同期制御については,今年度の成果をさらに推し進めて,非均一ダイナミクスの場合の同期制御手法を確立する.また,非対称通信(有向グラフ)の場合についても具体的な同期条件を導く. 2.入力制約に加えて出力制約を有する線形エージェント群の同期制御について,今年度は不変楕円体に基づく解析・設計を検討したが,楕円体による手法は非常に保守性が大きい事が知られている.そこで,今後は制約条件を満たす状態ベクトルの不変集合として,より保守性の小さい形状(例えば,凸多面体)を選び,それを利用した最大出力許容集合の構成法について考察する.さらに,そのような最大出力許容集合を用いる事により,入出力制約の下で同期を達成する分散協調制御系の解析・設計法を構築していく.また,具体的な制御手法として,モデル予測制御やリファレンスガバナなどの援用も検討する.
|
Causes of Carryover |
今年度は、人件費・謝金の支出の必要が無く、また、シミュレーション及び実験のための一部の物品の購入を見送ったため、残額が生じた.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
発生した次年度使用額は、主に物品費に充てる.
|
Research Products
(5 results)