2016 Fiscal Year Research-status Report
石橋の維持管理に最適な補修・補強方法の開発と洪水に強い石橋の提案
Project/Area Number |
15K06167
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山尾 敏孝 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (40109674)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
葛西 昭 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (20303670)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 石橋 / 維持管理 / 壁石 / 補修・補強 / 石アーチ模型 / 鋼棒 / エポキシ樹脂 / 高欄 |
Outline of Annual Research Achievements |
石橋を維持管理しながら保存・活用をするため、昨年に引き続き3項目の問題解決を目指すとともに、更に地震を受けて損傷した影響も含めて4番目の項目として検討した。 1)石橋のすき間、石材の割れ、壁石の面外方向への膨らみ等の損傷問題、2)石材高欄の高度強化問題、3)洪水に強い石橋形式の開発問題、4)地震により崩壊した壁石の崩壊メカニズムについてである。 1)の問題については、昨年の研究で、折れた石材の補修・補強方法についてネジ切りステンレスとエポキシ樹脂を用いる手法の開発がほぼ終わり、実際の桁石橋の石材についての補修実施を検討した。しかし、熊本地震により壁石崩壊などの損傷が発生し、石橋の壁石崩壊は壁石の面外方向への初期の膨らみの存在が関係するような事象も発生したことから、4)の壁石の崩壊メカニズムの検討を詳細に行った。2)の問題についても、地震で石材高欄が崩壊し、欄干の落下や損傷が多く発生したことから、高欄の地震被害調査を行い、熊本県の石橋の高欄形式について調査分類を行った。また、高欄の設計についても道路橋の高欄を参考に設計強度や高度強化できる高欄の設計方法等の検討を行った。3)の問題については、比重が1に近い材料によりアーチ輪石模型を製作し、アーチ輪石のみの橋軸直角方向載荷実験を行い、アーチ輪石模型の変位挙動や強度を把握した。次に、アーチ輪石模型を水路に置き、流水を受けた時の石アーチ模型の崩壊挙動を検討した。4)の問題については、石橋の振動特性を把握する振動試験を二俣渡の石橋で行い、既往の研究結果と合わせて石橋の固有特性を調査した。また、壁石と中詰めを有する石橋模型を製作し、熊本地震の正弦波振動および地震波を使った振動実験により石橋の地震時挙動特性及び崩壊メカニズムを検討した結果、支承部付近の壁石が先に崩壊することがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、地震の影響もあったがほぼ計画した通りに研究を実施できた。今回の震度7の地震動を受けて実石橋の壁石の崩壊はあったが、アーチ輪石までの崩壊に至らなかったことは、改めて石橋が地震動に強いことが確認できた。また、洪水に強い石橋開発についての模型実験では、使用する石材模型の比重を変えて模型を製作し、実験することができた。また、高欄形式についても実石橋の形式分類と道路橋に適用できる構造形式を明らかにすることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究としては、次の3点を行う。 1)石橋の壁石がどのようなメカニズムで地震動によって崩壊したのかは、壁石の形式及び中詰めの土、砂、砂利などの詰め方を変化させた模型を製作して、固有振動状況及びどのように影響し崩壊したのかを含めて模型実験を通して明らかにする必要がある。また、壁石と中詰めを含めての静的載荷や動的振動実験の結果と比較すべき解析手法の開発が未完成であることから早く3次元解析手法を完成する。 2)地震に強い高欄の構造形式を参考にして、道路橋に適用できる石材高欄について解析的に検討して、地震時に弱点となる部分を明らかにする。 3)開水路での洪水流に対して、壁石付き模型の実験を実施して挙動等を明らかにすることにより、洪水に強い石橋の開発を行う。
|
Research Products
(6 results)