2016 Fiscal Year Research-status Report
混和材の混入を考慮した促進炭酸化・促進塩分浸透試験確立に向けたメカニズムの解明
Project/Area Number |
15K06169
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊代田 岳史 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (20549349)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 炭酸化 / 鉄筋腐食 / 雨掛り / バテライト / カルサイト / 空隙構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
実環境下における中性化による劣化は、鉄筋腐食が大きな問題となる。そのためには、酸素と水分供給が必要不可欠であるが、一方で水分が潤沢に存在する場合には、中性化の進行が停滞することが知られている。そこで、ここでは、いくつかに分類して検討を加えた。分類は(1)実構造物調査による環境の違いが中性化進行に与える影響、(2)鉄筋腐食まで考慮した実構造物の調査結果、(3)混和材が大量に用いられたセメントにおける中性化速度(実環境と促進環境での相違)である。 (1)実構造物調査による環境の違いが中性化に与える影響では、高炉セメントを用いた50年以上経過したコンクリート構造物からコアを採取して中性化進行を調査した。雨掛りの有無および高湿度環境での中性化の進行を調査した結果、雨掛りのない環境ほど中性化の進行が早かったが、明確な差が認められたわけではない。さらに、コアを切断して促進中性化を実施したところ、促進中性化が早ければ実環境でも早いわけではないことも確認できた。水和物の調査も実施し、炭酸化のメカニズムの理解が進んだ。 (2)実構造物での鉄筋腐食については、中性化のみを劣化原因とした場合、かぶりが大きい場合には、中性化の進行は鉄筋には到達していないこと、また到達してもひび割れにいたらないことなどが明確となった。また、雨掛りのある場合には、中性化の進行が小さくても鉄筋が腐食することもあることも明確になった。 (3)高炉スラグ微粉末やフライアッシュを高置換したモルタルによる中性化の進行を検討したところ、置換率が高いものほど、促進試験による中性化進行が著しく大きいことが明らかとなった。また、深さ位置における水和生成物や炭酸カルシウムの量も定量化できた。加えてpHを計測することで、中性化の進行を明確にすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実構造物の調査等は次年度予定であったが、今年度での実施が可能であったため、進展している。ただし、メカニズムの解明に関しては、少し停滞している。継続して進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
塩分浸透に関しては、いまだ不明なところが多い。2017年度には、もっと広い視点で検討を加え、C-S-Hの相違との関係を明確にしたい。 中性化については、進んでいるが、C-S-Hの相違との関係をつめるとともに、高置換高炉スラグセメントでの問題点を明確にして、調査を続けていきたい。
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Causes of Carryover |
端数残高が発生してしまったが、次年度繰越。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
誤差が生じている分は、最終年度にて執行予定。必要物品購入に使用予定。
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