2016 Fiscal Year Research-status Report
磁歪型弾性波入力・受信装置によるコンクリート内部欠陥の新しい非破壊探査手法の開発
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15K06173
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
内田 慎哉 立命館大学, 理工学部, 任期制講師 (70543461)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | コンクリート / RC床版 / PCグラウト / 圧縮強度 / 部材厚さ / 弾性波法 / 磁歪 / 周波数解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,RC床版内部に生じる水平ひび割れを非破壊で効率的かつ迅速に検出するための「磁歪型弾性波入力・受信装置(以降,一体型ユニット)」およびこれを3台連結した「平地走行ロボット」をそれぞれ試作した。その結果,一定の間隔・打撃力で打撃可能な電磁ハンマと磁歪センサを内蔵した振動センサを搭載した一体型ユニットは,コンクリート内部の欠陥により生じるたわみ振動を捉えていることを明らかにした。また,一体型ユニットを3台連結した平地走行ロボットによる計測を行い,受信波形の最大振幅値を評価指標とした結果,深さ32mmで直径200mmおよび深さ32mmで直径400mmの欠陥を視覚的に把握できることがわかった。 上記の検討に加えて,今後,PCグラウト充填状況やRC床版内部の水平ひび割れを評価する上で重要となる新しい周波数解析方法についての検討も行った。具体的には,フーリエ変換やFFTでは,パワースペクトルで振幅値を求める際の周波数および周波数分解能が,測定振動のサンプリング時間間隔とデータ数の積(測定時間長)の逆数から自動的に設定される。本研究では,このFFTを利用せずに,任意の周波数の振幅値を算出する周波数解析方法(任意法)を提案し,この結果とFFT の結果とを比較し,その有効性について,圧縮強度および部材厚さを評価対象として検証した。その結果,新設コンクリート構造物の圧縮強度の評価およびコンクリートの部材厚さの評価において,一般的に利用されているFFTと同程度,あるいはそれ以上の評価結果が得られることを明らかにした。また,この周波数解析方法は測定振動のデータ数を追加することなく,周波数分解能や厚さ分解能を任意に小さくできるという利点がある。加えて,評価対象や測定の目的に応じて分解能を設定できるため,合理的な解析方法であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動磁場解析や動磁場・弾性波動解析による理論設計には着手できていないものの,その他については概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
動磁場解析や動磁場・弾性波動解析による理論設計には着手する予定である。 また,以下の点についても検討する。 1. PCグラウト充填状況 「磁歪型弾性波入力装置」を改良することで弾性波の入力エネルギーを大きくし,適用可能な欠陥直径や深さの範囲を明確にする。さらに,「磁歪型弾性波受信装置」も試作して,手法の高度化を目指す。 2. RC床版内部の水平ひび割れ コンクリート内部を伝搬する波動成分を抽出するためのアンプの試作,信号処理方法を検討する。
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Causes of Carryover |
装置の試作および改良費が安価であったため。また,汎用の弾性波動解析ソフトのレンタルを見送り,開発した2次元弾性波波動解析ソフトを使用したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
手法の高度化を行うために装置の改良および汎用の動磁場解析ソフトをレンタルする予定である。
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