2015 Fiscal Year Research-status Report
軌道剛性急変箇所を対象とした道床沈下解析法の開発と沈下メカニズムの解明
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15K06177
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
紅露 一寛 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (70361912)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | バラスト道床沈下 / 弾塑性有限要素法 / ヤング率の空間変動 / 確率有限要素法 / 材料パラメータ同定 / cyclic densificationモデル / 粒子群最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,軌道剛性急変部の道床沈下解析手法の構築と,当該箇所における道床沈下メカニズムの解明を目的としている.平成27年度は,下記4点の研究成果を得た. (1)軌道剛性急変部の道床沈下量予測のための軌道振動・道床沈下連成解析手法の構築に関し,まくらぎの浮きおよびレール凹凸をモデル化し当該の連成解析法に導入した.また,レール継目の振動・接触モデルを振動解析に実装した. (2)コンクリート道床・バラスト道床接続部のバラスト道床沈下を対象とした有限要素解析を行ない,道床沈下は接続部から5本目のまくらぎ付近で著大となること,沈下量の空間分布形状は車両の進行方向や走行速度によらず概ね同様であること,などがわかった. (3)車両・軌道系の連成振動応答に及ぼすバラスト材のヤング率の空間変動の影響を評価するために,スペクトル確率有限要素法を用いた軌道振動解析を行なった.解析手法の構築に際しては,バラスト部の動的応答を数値Green関数を用いて評価することで,連成振動解析時の計算負荷の抑制を図った.また,バラスト部の領域境界で粘性境界を導入することで,領域境界からの不自然な波の反射の抑制を試みた.解析の結果,まくらぎ・バラスト間作用力の変動量は,バラスト材のヤング率の変動係数10%に対して0.5%程度と非常に小さく,走行速度の影響も小さいが,輪重の変動量は走行速度の増加によって増幅することがわかった. (4)cyclic densificationモデルに基づくバラスト道床沈下解析において,粒子群最適化手法を用いて材料パラメータを同定した上で,解析結果に対するバラスト材の材料パラメータの影響感度を評価した.また,バラスト材のヤング率の空間変動が道床沈下量に及ぼす影響について,スペクトル確率有限要素法を用いて評価した.平成27年度は単調載荷過程についてバラスト材のヤング率の変動の影響を評価した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
軌道振動・道床沈下連成解析法の構築は,ほぼ予定通り進捗している.また,コンクリート道床・バラスト道床接続部でのバラスト道床沈下解析についても,車両の走行条件の影響を検討しており,レール凹凸モデルの導入も予定どおり平成27年度に終えている.また,バラスト材の力学挙動の変動を考慮した車両・軌道系の連成振動解析については,バラスト材のヤング率の空間変動の影響をスペクトル確率有限要素法を用いて評価し,バラスト道床の発生源外力であるまくらぎ・バラスト間作用力に対するバラスト材のヤング率の空間変動の影響について検討している.さらに,当初平成27年度の研究実施を予定していなかった,バラスト材の弾塑性モデルの材料パラメータ同定や,材料パラメータの解析結果に対する影響感度の評価解析を実施し,さらにバラスト材のヤング率の空間変動がバラスト道床の単調載荷解析結果に及ぼす影響について,スペクトル確率有限要素法を用いて評価した.これらはいずれも平成28年度以降に予定していた研究課題の一部である. 以上より,平成27年度は当初の研究課題のほとんどについて実施でき,平成28年度以降に予定していた研究課題の一部に着手し,研究成果も得ることができている.よって,当初の計画以上に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は,下記3点の研究課題に取り組む. (1)レール継目箇所におけるバラスト道床沈下メカニズムの解明: 平成27年度に開発した軌道振動・道床沈下連成解析法を用いて,レール継目箇所における道床沈下解析を実施し,当該箇所の道床沈下メカニズムの解明に取り組む.道床沈下の発生・進展に対する主要因として,走行速度,レール凹凸,継目遊間長,継目部のまくらぎ支持方法などの影響について,数値実験を通して検討する. (2)軌道各部の構成要素のばらつきが軌道振動解析におけるまくらぎ・道床間作用力に及ぼす影響: 軌道を構成する構成要素の形状や力学特性などのばらつきが軌道振動解析におけるまくらぎ・道床間作用力に及ぼす影響について,確率有限要素法を用いて評価する.特に,レール形状やまくらぎ間隔,車両重量などのばらつき・変動の影響について検討する. (3)バラスト材の弾塑性挙動の空間変動がバラスト道床沈下量に及ぼす影響の評価: 平成27年度に引き続き,cyclic densificationモデルに基づくバラスト道床沈下解析において,バラスト道床のヤング率の空間変動が道床沈下量に及ぼす影響について,スペクトル確率有限要素法を用いて検討する.特に,当該構成モデルの繰り返し載荷過程における影響について評価・検討する.さらに,他の弾塑性材料パラメータの変動の影響の評価方法について,その定式化に着手する.
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Causes of Carryover |
次年度使用額11,728円については,平成28年3月末に解析データ保存用HDDおよび文具等の消耗品の購入に充当しているが,請求先への支払が平成28年4月となった.そのため,所属機関の会計ルール上,平成28年度への繰越として処理することとなった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記理由に記載の通り,次年度使用額11,728円は,平成28年3月末に解析データ保存用HDDおよび文具等の消耗品の購入に充当している.
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Research Products
(6 results)