2016 Fiscal Year Research-status Report
耐候性鋼材の長寿命化のための腐食進展モデルの構築と塩分除去技術の開発
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15K06181
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
麻生 稔彦 山口大学, 創成科学研究科, 教授 (30231921)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 耐候性鋼材 / さび |
Outline of Annual Research Achievements |
耐候性鋼橋梁を適切に維持管理し、長寿命化をはかるためには、鋼材表面に生成するさびの評価手法、爾後のさび進展予測手法および効果的な補修技術の確立が必要不可決である。本研究では、耐候性鋼材表面のさび生成モデルの作成を目指し、耐候性鋼材表面のさび生成状況を時間的空間的に表現しうるモデルの構築をはかる。昨年度の成果をもとに、今年度は鋼材の濡れに着目し鋼材上の塩化ナトリウムの保水挙動を明らかにする。 実験では所定の塩化ナトリウムをのせたシャーレを小型環境試験器内に設置する。実験開始後、シャーレ全体の質量を測定し,測定値より水分量を算出する。実験は湿度75%以上の環境での吸水挙動および,湿度75%以下での乾燥挙動を観察する。また、耐候性鋼材上に塩化ナトリウムをのせた実験も行った。この実験により、塩分の潮解性による吸収水分量は塩分量,湿度に依存することが明らかとなった。また、これらの挙動を定式化することができた。一方、鋼材上では腐食生成物が生成されるため、塩分のみの場合と異なる挙動を示すことが明らかとなった。 また、実橋梁(鈑桁橋)において温湿度観測を実施した。その結果、温湿度環境は橋梁断面内で一定ではなく、腐食環境が異なることが明らかとなった。特に相対湿度は日中は桁上部が高いものの、夜間には桁下部において高くなる。また、露点と桁温度から結露時間を算出した。これにより、結露は冬期に発生しやすい傾向にあり,一日の中で午前9時~11時に集中して発生していることも明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定した項目の内、「耐候性鋼材表面のさび生成過程の解明」および「耐候性鋼材表面のさび生成モデルの作成」は実験によりほぼ達成できている。また「炭酸ナトリウムによる腐食抑制効果の解明」は曝露試験を継続しており、抑制効果を観察している状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
・過去2カ年の成果により、鋼材上の保水状況および塩化ナトリウム水溶液の違いによるさび生成状況が明らかになったため、これらをもとに時間的空間的にさび生成状況を評価するモデルを構築する。 ・炭酸ナトリウムによる腐食抑制効果は他の工法との比較の曝露試験により、その効果を定量的に評価する。
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Causes of Carryover |
経費節減に努めた結果、消耗品に未使用が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度経費と併せ、実験用消耗品費として使用する。
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