2015 Fiscal Year Research-status Report
材料の速度異方性を考慮したAEトモグラフィ法の開発
Project/Area Number |
15K06193
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小林 義和 日本大学, 理工学部, 准教授 (20339253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩谷 智基 京都大学, 工学部, 教授 (40443642)
小田 憲一 日本大学, 理工学部, 助教 (70632298)
桃木 昌平 飛島建設株式会社技術研究所, その他部局等, 研究員 (80463579) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | AEトモグラフィ / 弾性波速度トモグラフィ / 異方性材料 / AE位置標定 / 逆問題 / 拡張カルマンフィルタ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、申請者らが既に提案している異方性材料を対象とした波線追跡法に基づき、材料の異方性を考慮したAEトモグラフィ法のアルゴリズムの構築を実施した。このアルゴリズムでは、当初予定していた通り、弾性波速度の異方性を方向に応じた弾性波速度の変化を表す弾性波速度プロファイルを使って表し、その弾性波速度プロファイルに基づいた波線追跡法を使ってAE位置標定アルゴリズムと弾性波速度分布の逆解析アルゴリズムを構築した。AEの位置標定アルゴリズムについては、従来のAEトモグラフィと同様に、異方性を考慮して対象平面上の点における潜在発信時刻を受信点毎に算出し、それらの分散が最も小さくなる点をAEの発信位置とした。また、弾性波速度分布の同定については、拡張カルマンフィルタによって実施することとした。現段階では、開発されたアルゴリズムの妥当性は、数値解析によって検証され、それによれば、開発されたアルゴリズムはAEの位置標定を適切に実施することが可能であり、なおかつ弾性波速度分布も良好に同定されることが確認された。また、これに加え、本年度は将来の異方性材料への適用を視野におき、Q値分布を同定するQ値トモグラフィのアルゴリズム開発も併せて実施した。このQ値トモグラフィのアルゴリズムについても、その妥当性が数値実験によって検証され、Q値分布を適切に同定することが可能であることが確認されている。さらに、これらのアルゴリズムの検証を目的として、室内実験の準備を進めており、平成27年度においては、限定的ではあるが、アルゴリズムの検証に利用しうるデータの計測を実施し、さらに平成28年度に実験で使用する予定のCFRP供試体についても、入手の見通しをえることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在の研究課題の進捗状況については、当初の計画以上に進展していると判断している。これは、計画で述べた異方性を考慮したAEトモグラフィのアルゴリズムの開発と数値実験による検証のみならず、Q値分布の同定を目指したQ値トモグラフィのアルゴリズムも併せて実施することができたからである。また、検証実験についても、限定的にではあるが開始しており、平成28年度以降に予定されていた計画を前倒しにして実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度については、平成27年度に開発した解析アルゴリズムの実験による検証と、その検証において発見された不具合への対応を中心として研究を推進する予定である。すでに、その検証に必要な実験設備や供試体などの調達準備も進んでおり、程なく検証実験を開始することが可能であると考えている。解析アルゴリズムについては、数値実験ではその有用性が明らかとなっているものの、それを実際の問題に適用した場合の問題については未知である。このため、具体的なアルゴリズムの改良については、まず検証実験を実施した後に検討する予定である。
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Causes of Carryover |
当初の予定より、研究環境整備のための物品費は高額となったが、旅費が予定よりも安価となり、結果として予算に残額が発生した。また、研究分担者の中の一名について、共同研究実施が困難になったため、その分担者への配分がなくなったことも、残額が発生した一因となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度には、現在本研究計画のために供用されている解析環境の整備や、国際会議での成果発表などのために旅費が多く必要になる予定である。また、本年度より実験による解析手法の検証が開始するため、主として実験を担う分担者への分担金を増額し、環境整備に努める予定である。
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