2015 Fiscal Year Research-status Report
海塩粒子輸送予測に関する異なる空間スケールを接合した付着塩分量推定システムの開発
Project/Area Number |
15K06202
|
Research Institution | Matsue National College of Technology |
Principal Investigator |
広瀬 望 松江工業高等専門学校, 環境・建設工学科, 准教授 (40396768)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 海塩粒子濃度 / 付着塩分量 / 維持管理 / 数値シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,広域場における海塩粒子輸送予測のための検証用データを取得するために,観測拠点の整備を行った.まず,松江高専屋上に櫓を設置し,観測拠点を整備した.具体的には,気温,湿度,風向,風速などの気象要素及び海塩粒子濃度およびその粒径分布を計測した.また,ステンレス鋼板を設置し,鋼材に付着する塩分量を測定した.現在は,定常観測に移行し,継続的にデータを取得中である. 平成27年度は,得られた観測データに基づいて,大気中の海塩粒子濃度と付着塩分量との物理的な関係を解明した.そして,大気中の海塩粒子濃度から付着塩分量を推定するために重要な鋼材表面への付着率を算定した.広域場の海塩粒子濃度予測結果から,構造物に付着する塩分量を推定するために,重要となる知見である.なお,この結果は土木学会及び腐食防食学会で発表するとともに,最新の構造工学論文集に掲載され,構造工学シンポジュウムで成果発表を行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海塩粒子濃度及びその粒径分布の観測体制を整え,順調に観測データが蓄積されている.また,取得した観測データに基づいて,本研究の基礎となる鋼材への塩分付着に関する現象理解が進み,その成果は構造工学論文集に掲載された.また,広域での海塩粒子濃度予測シミュレーションを実験的に行い,基礎的な検討を終えており,観測データとの比較検討ができるようになった.
|
Strategy for Future Research Activity |
広域での海塩粒子濃度予測を行い,観測データと比較検討することによって,予測精度の検証を行う予定である.本年度は数値実験実施のための基礎的検討を行った.その結果を踏まえて,H28年度での計算環境整備案を検討した.具体的には,構造物周りの粒子輸送シミュレーションにおいては,他大学と協力し,研究を進める予定である.また,他大学のスーパーコンピュータの利用を模索し,大規模な数値実験が行えるように,解析環境の整備を進める予定である.
|
Causes of Carryover |
H27年度は数値計算のためのワークステーションを購入し,計算環境の整備を進める予定であった.しかし,数値実験精度検討のための観測データ取得を優先し,観測拠点の整備および調整や定常的な観測準備を進めた.精度良く,定常的に観測できる体制を整えるには,多くの時間が必要であり,計算環境の整備には次年度にすることとした.このため,次年度使用額が生じた.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
H28年度は数値実験を効率よく行うためのワークステーションの購入と他大学のスーパーコンピュータ利用の検討の二つを進め,計算環境を整え,効率よく数値計算を進める予定である.
|
Research Products
(6 results)