2016 Fiscal Year Research-status Report
不整形地盤における地震動増幅率を考慮した震度および液状化ハザードマップの作成
Project/Area Number |
15K06217
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Research Institution | Nagano National College of Technology |
Principal Investigator |
古本 吉倫 長野工業高等専門学校, 環境都市工学科, 教授 (90303510)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | シナリオ地震 / 活断層 / 震度予測 / 液状化指数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、想定される巨大地震における任意の地点の地震動(波形及び震度)を予測する手法を合理化し、表層地盤における震度及び液状化ハザードマップの作成方法を高精度化することである。一般に地震動予測は震源から地表への震動の伝播メカニズムを想定して算出されるが、表層地盤はボーリング調査に基づき数100m四方の独立した成層地盤メッシュとして扱われる。このため、地盤構造に急激な変動がある地域(=不整形地盤が存在する地域)において想定される波動の反射・屈折は考慮されず、震度の予測精度に問題がある。そこで本研究では、地震動伝達関数の補間手法を用い、基盤が傾斜している場合でも精度よく地表震度を予測する技術を開発する。 (1)【2014年11月22日に発生した長野県北部地震におけるアンケート震度調査】信州大学震動調査グループと共同で、2014年11月22日に発生した長野県北部の地震について、周辺自治体の協力の元、住民に対しアンケート調査を実施し、体感による地震動分布図をまとめ、報告書を作成した。 (2)【区間別地震危険度の算出】糸魚川静岡構造線を震源とする中小地震における地震危険度解析を行った。具体的には、M6相当の中小規模の地震を引き起こす可能性のあるエリアを仮定し、断層の長さを固定し、最も被害が大きくなる断層エリアを探索した。周辺の人口分布を参考に、震度曝露人口(=ある震度に曝されている人口)を指標として、防災上最も重要な震源エリアを抽出した。 (3)【微動アレー探査技術の応用による地盤調査手法の検討】地震動予測および液状化危険度解析のために、地盤ボーリングデータは必須であるが、調査に必要な標準貫入試験データやPS検層結果が、必ずしも十分に得られるものではない。そこで、地盤情報を補完するため、微動アレー探査技術を応用して、地下の弾性波速度構造を推定し、地震動予測に応用する方法を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)長野市に直下型の地震被害をもたらす可能性の高い信濃川断層の破壊パターン(地震シナリオ)を3通り考慮した。それぞれの地震シナリオに従い、EMPRにおける基盤地震動を計算するとともに、今回提案した伝達関数の補間手法を用い、メッシュごとに地表地震動と液状化指数PL値を推定した。さらに、シミュレーションによる震度分布と液状化指数により道路構造物の被害予測を行った。
(2)長野県北部におけるアンケート震度調査については、当初の計画にはなかったが、貴重なデータであるため、データの採取を行った。最終年度までに、このアンケート調査値を実測値とみなし、今回提案している伝達関数の補間手法による震度予測値と比較することによって、提案手法の精度検証を行うことが出来る。
(3)長野県北部における地震危険度解析を行った。国や県が予測する大規模地震だけでなく、M6クラスの中小規模地震を引き起こす断層エリアを抽出することを目的とした。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)信濃川断層帯における要注意シナリオを特定するため、国や県が想定するM7クラス相当の地震の他に、M6クラスの中小規模地震に備え、最も被害が大きくなる断層エリアを特定する。 (2)長野市におけるシナリオ地震動予測については、想定する断層に対し、地表震度と液状化指数PL値の推定が可能となったので、道路構造物や建物被害予測を行うことで、交通渋滞の発生箇所や死傷者数の予測を行うことができる。 (3)長野県北部におけるアンケート震度調査を実測値とみなし、今回提案している伝達関数の補間手法によるシミュレーション値と比較することによって、提案手法の精度検証を行うことが出来る。
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Causes of Carryover |
年度末の旅費および謝金が、翌年度の支払いにまわったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度末での残高を今年度中に執行する。
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