2017 Fiscal Year Annual Research Report
Fundamental researches for development of the applied hydrology by the microbe information and the isotope information
Project/Area Number |
15K06231
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
坂本 康 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (80126648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 継 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (70293438)
原本 英司 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (00401141)
田中 靖浩 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (50377587)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 水文指標 / 同位体比 / 微生指標 / 地下水汚染 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、水文学を新しい分野に展開するために、微生物情報・同位体情報を水文学に取り入れることがどの程度有効かを明らかにすることである。そのため、平成29年度には、これらの微生物情報・同位体情報をさまざまな水文環境で得て、下記の成果を得た。 ①土壌水:大腸菌の室内土壌浸透実験により、浸透特性に及ぼす水温等の影響を解析した。その結果、大腸菌の土壌中での蓄積と溶出による浸透量の時間変化、温度と栄養物の影響が大きいことなどの浸透特性を把握できた。また、水文学的に浸透を評価する実験方法も整理できた。 ②河川水:指標微生物と病原微生物の存在濃度データの関係性を解析し、流域の病原微生物管理への指標微生物の有効性を評価した。その結果、アデノウイルスやノロウイルス等の病原ウイルスと大腸菌等の指標微生物の検出結果の差異を比較することで、病原微生物の汚染監視に対する指標微生物の有効性を評価できた。 ③地下水の同位体:浸透現象により人畜由来の汚染を受けているカトマンズ盆地の地下水について、硝酸イオン濃度、硝酸イオンの窒素および酸素の安定同位体比値を解析した。その結果、硝酸イオンの同位体比値は、異なる起源からの負荷と脱窒反応との二つで説明でき、人畜由来の窒素負荷の指標として有効であることを示せた。 ④地下水の微生物:カトマンズ盆地の地下水で、微生物浸透現象の指標となりうるArcobacter属細菌について検討した。その結果、既知のArcobacter属細菌を網羅的に検出できるリアルタイムPCR(SYBR Green系)を新たに開発し、地下水中におけるArcobacter属細菌の汚染実態を定量的に明らかにできた。また、Arcobacter属細菌の病原性に関与する遺伝子をターゲットとした検出・定量方法により、カトマンズ盆地の地下水中に病原性Arcobacter属細菌が広く分布することを明らかにできた。
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