2016 Fiscal Year Research-status Report
マルチコプターから撮影された情報の知的画像解析による河川現地計測の新展開
Project/Area Number |
15K06234
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤田 一郎 神戸大学, 工学研究科, 教授 (10127392)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | マルチコプター / 河川流計測 / 知的画像処理 / STIV |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,最近ではUAV(Unmanned Aerial Vehicle)と呼ばれるのがより一般的になってきた無線操縦の小型機の河川現場計測への高度な応用を目指して,技術的な新展開を目指したものであるが,昨年度進めた揖保川を中心対象とした研究に加え,本年度は市販のソフトウェアでは解析不可能な河川表面流の流れの解析ソフトウェアの開発を行った.最近のマルチコプターは性能が高く,本研究で使用した機種においても機体の下部にとりつけた小型ビデオカメラの撮影方向を安定的に一定に保てるように,高性能なジャイロ機能の付いたジンバルが有効に作用するが,空中では風の影響で機体の位置が流されるため,撮影アングルは時々刻々変化する.撮影はなるべく一定箇所に留まろうとするホバリングモードと徐々に位置を変化させているナビモードに分類できる.いずれのモードにおいても,撮影領域に入っている例えば橋などの位置は相対的に不動である必要がある.このうち,ホバリングモードのビデオ画像に関しては,昨年度,ほぼ対応可能であったため,本年度はナビモードに対する解析ソフトを開発し,信濃川の基準点である旭橋地点で実施した現地観測時に撮影したビデオ画像に適用した.解析には知的画像処理として知られる特徴点抽出っ手法であるSIFTなどを導入し,移動撮影しながらの映像に対しても安定的にブレ補正をできるようにした結果,旭橋を挟んだ約400m区間にわたる表面流況を得ることに成功した.流れの解析には,申請者が開発してきたSTIV(Space-Time Image Velocimetry)を活用したが,従来の速度検出手法に加えて新たな手法としてQESTA(Quality Evaluation of STI by using two dimensional Autocorrelation function)を考案し,その有用性を確認した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,昨年度,揖保川を対象に行った湾曲部に関する現地計測については,適度な出水がなかったこともあり,洪水前後の比較などはできなかった.移動床シミュレーションに関しては再現が十分ではなかったために再度検討しているところである.これに対し,河川表面流の画像計測手法に関しては,昨年度と比較して格段に高性能化したソフトウェアを開発でき,信濃川での観測においてその有用性を確認した.すなわち,ナビゲーションモードに対する安定的なブレ補正アルゴリズムを確立することができ,あらたに開発した流れの検出アルゴリズム(QESTA)と合わせて,河道に沿った長い区間に渡る流況把握ができるようになった.
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度,昨年予定していて良好な結果を得ることができなかった混合粒径を用いた浅水流モデルによる解析と現地における粒度分布の画像計測の比較を行う.また,信濃川で実施予定の合同観測時には,新たな展開として,UAVから浮子やトレーサーを投下する装置を考案し,長距離に渡って追跡するアルゴリズムの開発を進める.UAVを使った解析は静止画像を対象として多様なソフトウェアが開発され,地形計測などに使われてきたが,河川流を対象とした詳細で高性能な計測アルゴリズムは,わが国では当研究室においてのみ開発が進められている.UAVにおける撮影で解析が難しいのは,水面に垂直ではなく斜め方向に撮影された画像であり,本研究では揖保川での解析と合わせて信濃川で実施予定の現地計測において斜め画像から流速分布を抽出するアルゴリズムの開発を試みる予定である.
|