2016 Fiscal Year Research-status Report
稠密日射量観測とデータ同化手法を用いた雲の形成過程に関する研究
Project/Area Number |
15K06236
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
森脇 亮 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (10302952)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 都市気象 / 日射量 / 雲 / 太陽光パネル / 水文気象プロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
近年頻発化している局所的な集中豪雨の一因として都市化の影響を評価する必要があるが、その因果関係は依然として明らかにされていない。本研究では、降水の前段階である「雲」に着目し、都市化による土地利用の変化が雲の形成に与える影響について解明している。本年度は、松山平野を対象として地上気温・湿度の空間分布、雲底高度の計測システムに加えて、日射量・雨量・気圧の空間分布を観測するシステムを新たに構築し、都市化と雲形成・降雨の関係について検討を行った。 この観測システムから得られた気圧の時空間特性について解析を行ったところ、松山平野の地形的特徴が気圧の時空間特性に影響を与え海陸風を引き起こしていること、局所降雨の発生1時間前から内陸部の気圧が上昇をはじめこのときの気圧の時空間変動は気温の低下と雲の発生によって説明されること、が示された。 また太陽光発電量から全天日射量を推定する手法を都市スケール領域に適用し、日射量分布の推定を試みたところ、領域内の一地点の快晴日日射量を領域内の太陽光パネルの換算係数の算出に利用するという新たな手法により、太陽光パネル毎に日射量を観測することなく日射量の推定を行うことができた。さらに、推定された日射量分布を全天カメラ画像と比較することでその妥当性を確認することができた。 これらの気圧や日射量の稠密観測から得られたデータを気象モデルに同化させる手法を開発しており、今後、予測精度向上に対する現地観測データ稠密化の有用性について評価していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地上形成と上空の雲形成に係る因果関係を明らかにするためには降水の前段階である「雲」を精緻に把握することが重要となる。平成28年度までに、日射量・雨量・気圧の空間分布を観測するシステムを新たに構築し、気圧の時空間特性を詳細に把握するとともに、太陽光パネルの発電情報を併用した日射量分布の推定を行うことができるようになった。 これらの気圧や日射量などの稠密観測データは気象モデルに同化させる上で重要なデータであり、研究計画はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
気圧や日射量の稠密観測から得られたデータを気象モデルに同化させる手法を開発し、予測精度向上に対する現地観測データ稠密化の有用性について評価する。
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Causes of Carryover |
物品調達において節約できたためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は少額(21,989円)であるため、当初の計画通りに経費を使用する。
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