大型商業施設駐車場における人・車シミュレータを用いた安全性評価手法の構築

2017 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 15K06245
• Research Institution: Ibaraki University
• Principal Investigator: 山田 稔 茨城大学, 工学部, 教授 (50182556)
• Project Period (FY): 2015-04-01 – 2019-03-31
• Keywords: 大型商業施設駐車場 / 駐車場シミュレータ / 横断歩道 / 遅れ時間

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、大型商業施設駐車場の内部での歩行者挙動を組み入れた、人・車の両方を主体とするコンピュータシミュレーションを開発し、歩行者危険性の評価目的での有用性を検証することである。
平成29年度には、それ以前の研究成果から得られた歩行者の挙動モデルに加えて、横断歩行者が存在するときの車側の停止挙動についてビデオ撮影データより解析を行ってモデルを構築した。さらにこれらを組み入れ、駐車場における人と車の両方を組み合わせたシミュレータの構築を完成させた。
まず、本研究で開発した歩行者挙動のモデルに既存の車のミクロシミュレーションを組み合わせる際に、車の挙動として歩行者横断と遭遇した時をどのように扱うかを検討した。観測されたビデオ画像から、車と歩行者の行動の相互の関連が無視できないことがわかり、既存の車シミュレータ側の車挙動のモデルでは不十分であることがわかった。そこで、車側の判断を含むこれらの一連の両者の判断のシミュレーションを、今回開発する歩行者シミュレータモジュール側に持たせることとした。これに基づき、車シミュレータ側から、今回開発する歩行者シミュレータモジュールを呼び出す仕様を明確にし、それに基づいた車シミュレータ部分の構築を委託により実施した。
さらに、本年度は上述の歩行者横断と遭遇した時の車の減速・停止挙動とそれに続く歩行者側の横断開始判断についてビデオ撮影画像を解析し、モデル化を行った。
その上で、前年度までに得られた歩行者の経路選択行動モデルと前述の歩車遭遇時の両者の挙動モデルに基づいて、歩行者シミュレータモジュールを開発した。その結果、より現実に近い条件設定においてレイアウト変更の効果を評価できるようになった。さらに、これを用いて、前年度に行った横断個所を分散させることにより全体の円滑性に及ぼす影響について試験的に評価を行った。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

当初平成28年度を予定していた、駐車場における人と車の両方を組み合わせたシミュレータの構築は、車シミュレータ部分の仕様決定に際して時間を要したため、完成が本年度にずれ込むことになったが、年度末の段階で完成した。
さらに当初の予定に加えて、より現実に即したものとするために、横断しようとする歩行者に遭遇したときの車側の減速・停止の実施とそれに続く歩行者の横断・譲歩のモデルを追加した。
これらにより、予定よりも遅れが生じ、当初最終年度として予定していたケーススタディ評価については十分な数の試行を行えておらず、また、平成28～29年度の成果の発表についても準備が後回しとなったため、これらを平成30年度へ継続することとした。

Strategy for Future Research Activity

最終年度であり、ケーススタディ評価のうち前年度に実施できなかった部分を実施する。その結果により、特に横断歩道設置の適切な間隔等の、レイアウト設計への示唆を得ることを目指す。また、シミュレータの有用性を明らかにする。そして、本研究のまとめを行う。
並行して、これまで得られた成果を順次発表するとともに、最終の研究成果及び構築したシミュレータの公開の準備を行う。

Causes of Carryover

(理由)
シミュレータ構築に時間を要したため、ケーススタディの実施等の作業が平成30年度にずれ込むこととなり、このために予定していた謝金等や成果発表旅費を使用しなかったため。
(使用計画)
おもに作業の謝金と成果発表旅費で使用する計画である。