2016 Fiscal Year Research-status Report
交通インフラの都市・地域の経済的生産性に与える影響に関する分析
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15K06246
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 浩徳 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (70272359)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生産性 / 交通インフラ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,交通インフラ整備が国・地域・都市の経済的生産性に与える影響を実証的に分析するとともに,それより交通プロジェクト評価への示唆を得ることを目的とするものである. 今年度は,世界の主要空港を抱える都市を対象として,都市内の空港アクセス鉄道が都市の経済的生産性に与える影響の実証分析を試みた.まず,2012年にターミナル利用旅客数が最も多かった世界の100の空港を抽出し,これらの空港のある82都市における空港アクセス鉄道整備の有無を確認し,都市中心部からの鉄道・バスを含む公共交通による最短空港アクセス時間を各都市で最も一般的なルート検索エンジンで算出した.その上で,これら82都市について,一人当たりGMP(Gross Metropolitan Product)と空港アクセス時間の関係性をみると,負の相関,つまり空港アクセス鉄道整備で時間を短縮されている都市ほど経済生産性が高いという関係性が確認できた.次に,82都市の一人当たりGMPを人口関連要因(昼夜間人口比など), 地理的要因(都市圏面積や人口密度など), 産業構造要因(産業部門別のGMPに占める割合など), 空港関連要因(人口一人当たり空港利用旅客数,国際国内線旅客比,都市圏が抱える空港数など), 空港アクセスのサービス要因(鉄道整備の有無や公共交通によるアクセス時間など)に分類される複数の説明変数によって説明する回帰モデルを構築した.その結果,公共交通による空港アクセス時間を10パーセント減らすことができた都市は+3.4パーセントの経済生産性の向上が見込まれることがわかった.また,空港アクセス鉄道整備の推計値には直接的な時間短縮以外に間接的な経済効果もしくは上述の中長期的なWider Impact(たとえば,環境負荷の軽減,労働市場における機会向上,産業集積の強化)が含まれている可能性が高いことを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ここまでは順調に進捗している.今年度は,都市内交通,特に空港アクセス鉄道に着目し,国際間都市比較を通じた分析を行った.また,同時に昨年度分析した都市間高速鉄道のもたらす経済的インパクトについても継続して分析しているところであり,こちらについても概ね成果が出つつある.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は,空港アクセス鉄道の経済的生産性への影響に関する分析を特に東京都市圏を対象に行うとともに,新幹線による経済生産性のインパクトについても成果をとりまとめていく予定である.
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[Presentation] Latest urban rail demand forecast model system in the Tokyo Metropolitan Area, Japan2017
Author(s)
Kato, H., Fukuda, D., Yamashita, Y., Iwakura, S., Yai, T.
Organizer
Transportation Research Board 96th Annual Meeting
Place of Presentation
Washington D. C. (米国)
Year and Date
2017-01-07 – 2017-01-11
Int'l Joint Research