2017 Fiscal Year Annual Research Report
:Impact of Transportation Infrastructure on Urban/Regional Economic Productivity
Project/Area Number |
15K06246
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 浩徳 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (70272359)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高速鉄道 / 経済生産性 / パネルデータ分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,交通インフラ整備が国・地域・都市の経済的生産性に与える影響を実証的に分析するとともに,それより交通プロジェクト評価への示唆を得ることを目的とするものである. 今年度は,我が国を対象に,高速鉄道(新幹線)が地域の経済生産性に与える影響を実証的に分析した.ここでは,47都道府県をカバーする1981年,1986年,1991年,1996年,2001年,2006年の6時点の社会経済変数および交通ネットワークに関するパネルデータを準備し,それらをもとに高速鉄道の整備の各地域の労働生産性に与える影響を定量的なアプローチを用いて分析した.まず,各時点について,都道府県を高速鉄道駅が存在する地域グループとそうでない地域グループとに分類し,各時点の両グループ間の経済生産性を比較した.次に,都道府県別のマクロな生産関数を仮定した上で,単純回帰モデル,固定効果モデル、操作変数モデルを推定することにより,高速鉄道を含めた都市間交通のアクセス性やそれによる雇用集積が経済生産性に与える影響を分析した.推定に当たっては,対象ゾーン内の高速鉄道の駅数,ゾーン間OD最短ルートの総旅行距離のうち高速鉄道ルートの占める割合,ゾーン間OD最短ルートの総所要時間うち高速鉄道の所要時間の占める割合,ゾーンの雇用集積水準(有効密度)に加えて,さまざまな社会経済変数を制御変数として導入した.推定の結果,雇用集積が地域の経済生産性に統計的に有意な正の影響を与えていることが明らかとなった.また、ネットワークの外部性は、統計的有意性はやや弱いものの地域の生産性に寄与することもわかった.さらに,地域の経済生産性に与える影響は,高速鉄道沿線地域はそうでない地域よりも高く,特に大都市から数百キロ程度離れた地域において高い影響を及ぼしうることが明らかとなった.
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