2016 Fiscal Year Research-status Report
信号情報提供に対する反応を考慮したネットワーク交通流円滑化とCO2削減効果の分析
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15K06262
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
松本 幸正 名城大学, 理工学部, 教授 (30239123)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 信号情報 / 二酸化炭素 / エコドライブ / シミュレーション / ドライビングシミュレータ / ヘッドマウントディスプレイ / マルチエージェント / 運転挙動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,前年度に引き続き,道路などのインフラ側の情報として信号情報の利用が実務的に可能となりつつあることから,信号交差点での車両の停止時間を減少させたり,走行車両が青のまま通過できるようにしたりすることができる「アクセルオフ情報」や「推奨速度情報」を個々の車両に提供することによって,道路ネットワーク全体における二酸化炭素排出量の削減や交通流の円滑化を図ることができる情報提供システムの開発を目指している. 平成28年度には,全方向視野型ドライビングシミュレータを用いて,実際の道路を模擬した仮想空間を作成し,走行実験を行った.その結果,現実に近い道路空間においても,二酸化炭素排出量削減に対する情報提供の効果があることを確認した. 並行して,ミクロ交通シミュレーションを用いた道路ネットワークにおける情報提供の評価も行った.シミュレーション上に道路ネットワークを作成し,まずは交通現況を再現した.続いて,情報提供時の車両の動きを記述し,交通流や二酸化炭素排出量へ及ぼす影響を定量的に把握し,情報提供の効果を確認した. さらに,一部の研究計画を前倒しし,マルチエージェントシステムを用いて,個々の車両が信号情報を得た場合に自ら走行挙動を決めるアルゴリズムの開発に着手した.まずは単一の交差点が存在する道路において,自車の位置・走行速度と信号表示の残り時間に基づいて走行挙動を最適に選択できるように学習させ,円滑に信号を通過できるかどうかを実験した.その結果,学習によって,信号情報を与えることが停止時間や停止回数の削減につながり,二酸化炭素排出量の削減につながる可能性があることを示した. 以上のように,今年度は,各種の異なるシミュレーションを用いることによって,ドライバー個人,また,道路ネットワーク全体から,信号情報の提供が二酸化炭素排出量の削減に効果があることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度は,前年度に行えなかった全方向視野型ドライビングシミュレーション環境での走行実験を実施し,開発した情報提供システムの評価を行った.平成28年度は,複数ドライバーが走行する環境での実験を行う予定であったが,プラグインの開発が遅れ,実験までは至らなかった.一方,ミクロ交通流シミュレーションによって実際の道路ネットワークにおける交通状態を生み出す環境の構築と情報提供による交通流への影響の評価は,計画通りの進捗となった.ただし,まだ,ドライビングシミュレータUC-win/ROADとの連携まではできていない.これらの研究が計画通りに進まなかった代わりに,自律的に走行挙動を決めることができるマルチエージェントシミュレーションモデルの開発に着手し,全体として進捗状況に遅れは生じているものの,一部は発展的に研究が進んでいることから,”(3)やや遅れている”と自己評価することにした.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き,複数車両が走行する状況下でのヘッドマウントディスプレイを用いたシミュレーション環境の構築を進め,本研究で提案する「アクセルオフ情報」,「推奨速度情報」などの情報提供が,ドライバーの運転挙動にどのように影響するのか,また,先行車両への情報提供が追従車にどのように影響するのかをドライバー視点で捉える. 並行して,開発したミクロ交通流シミュレーションとドライビングシミュレーションの連携を図る.これにより,様々な交通状態において,情報の提供がドライバーならびに交通流に与える影響を同時に分析が可能になる. さらに,マルチエージョントシステムを用いて,信号を最適制御するモデルの開発に着手し,情報提供を行った際の反応が異なる個々のドライバーと,それを前提とした信号制御の最適化によって,現実に近い道路ネットワーク全体での情報提供効果を把握できるように努める.
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Causes of Carryover |
次年度使用額は319,486円である.これは,予定していた海外出張を治安の関係から取りやめたこと,ならびに,実験実施の遅れから,謝金が予定よりも少なくなった結果による.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額319,486円は,次年度の研究費に合わせて使用する.次年度の研究経費として,物品購入費,旅費,人件費・謝金,その他の経費に割り当てて使用する.
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