2015 Fiscal Year Research-status Report
自転車通行環境整備のための自転車と二輪車・自動車との共存性の評価指標に関する研究
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15K06263
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
小川 圭一 立命館大学, 理工学部, 准教授 (50303508)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自転車 / 自転車通行環境整備 / 共存性 / 錯綜現象 / 錯綜指標 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度には、分析対象事例となる各地の自転車通行環境整備事例の収集をおこない、現状での整備事例の類型化と課題の整理をおこなった。ここでは、近年整備がおこなわれた自転車通行環境整備モデル地区とともに、それ以前からの整備事例も含め、具体的な分析対象となり得る事例を抽出するとともに、予備的な観測調査と分析をおこなった。具体的には、モデル地区を含めた複数の整備事例となる道路区間において自転車交通の観測調査をおこない、交通量、交通密度、速度などの交通状況と、交通錯綜現象の発生状況について計測した。調査においては自転車の挙動をミクロに計測する必要があるため、デジタルビデオカメラを用いて複数箇所から自転車交通を撮影し、パーソナルコンピュータ上で計測、解析をおこなった。 自転車の走行特性を他の交通主体(歩行者・二輪車・自動車など)と比較すると、走行軌跡が不安定である点、平均走行速度が歩行者より大きく二輪車・自動車より小さい点、走行速度のばらつきが二輪車・自動車より大きい点などの特徴がある。このため、車道空間における自転車と二輪車・自動車の共存性の評価においても、これらの特徴を考慮した指標の構築が必要である。このため、これまでの自転車交通、歩行者・自転車混在交通を対象とした研究で定量的評価が得られることがわかった、TTC(衝突までの時間)や歩行者・自転車の占有空間にもとづく錯綜指標を用いた評価指標をもとに、定量的な評価をおこなった。これにより、車道空間におけるこれらの錯綜指標の適用可能性や課題点の抽出をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね当初計画通りに、順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度には、平成27年度に抽出された分析対象事例を対象に、交通要因、道路要因の異なる複数の道路区間において自転車交通の観測調査をおこない、交通量、交通密度、速度などの交通状況と、交通錯綜現象の発生状況について計測する。また、各地の自転車通行環境整備モデル地区や、その他の整備事例となる道路区間において、自転車および他の交通主体(歩行者・二輪車・自動車など)の通行位置の観測調査をおこなう。調査においては自転車の挙動をミクロに計測する必要があるため、デジタルビデオカメラを用いて複数箇所から自転車交通を撮影し、パーソナルコンピュータ上で計測、解析をおこなう。 これらの調査結果にもとづき、交通量、交通密度、速度などの交通要因、道路幅員や自転車通行環境の整備状況などの道路要因と、交通錯綜現象の発生状況との関連の分析をおこなう。分析においては、自転車の歩道通行と車道通行の両者を相互に比較するため、車道空間における自転車・二輪車・自動車の混在交通に対しても、歩道空間における自転車交通、歩行者・自転車混在交通と同様の方法で評価をおこない、両者を比較できる客観的な評価指標を確立することを目指す。このため、各々の交通主体における走行軌跡の安定性、不安定性を占有空間の形状や面積により表現し、走行速度(平均・分散)の差異による影響をTTCにより表現するなど、これまでの自転車交通、歩行者・自転車混在交通における指標と、自動車交通における指標とを組み合わせた、新たな自転車通行環境の安全性評価指標の構築をおこない、その適用可能性の検討をおこなう。
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