2016 Fiscal Year Research-status Report
循環資材における環境安全性のばらつきの定量化とリスク管理手法の提案
Project/Area Number |
15K06273
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
水谷 聡 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (80283654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 智司 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 特任准教授(テニュアトラック) (30748934)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 循環資材 / ストックパイル / コンベアサンプリング / ばらつき / 分析試料の代表性 / 都市ごみ焼却残渣 |
Outline of Annual Research Achievements |
循環資材の環境安全品質を評価するに当たり,多くの循環資材が製造後にストックパイルに保管されている現状を鑑みて,ストックパイルから代表試料を適切にサンプリングする手法について検討し,そのための手続きを提案した。具体的には,コンベアサンプリングとストックパイルサンプリングを並行して実施し,充分な検体数(JIS K0060 産業廃棄物のサンプリング方法に定められている検体数で,例えばロット量が1000t~5000tであれば50検体)を共に採取する。その後,環境安全品質に係る化学分析を行い,それぞれの分析値のばらつきを評価する。つづいて両者の平均値の差をt検定により,また両者の分散の差をF検定により評価することで,それぞれの分析試料が同等の集団であると見なせるかどうかを検討することで,両者の同等性を評価することが出来る。また,採取した試料の分析結果を基に,データ数を削減していくとともに,その時の平均値と標準偏差を比較することで,ストックパイルサンプリングにおいて検体数をどの程度まで削減することが出来るかも判断できるようになる。今後は,この手法をさまざまな循環資材に適用し,具体的なばらつきとサンプリングに必要な検体数を明らかにしていく必要がある。 また本年度は,都市ごみ焼却飛灰の薬剤安定化処理物に対しても繰り返し試験を行い,溶出現象のばらつきについて評価した。実験室内で安定化処理を行った飛灰試料を16等分し,環告13号法による溶出試験を行って結果を比較した結果,鉛と銅はいずれの試料からも溶出しなかった。また亜鉛と全有機炭素(TOC)の変動係数は,それぞれ3.0%と4.4%であり,いずれも分析誤差の範囲内であると思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ストックパイルから試料をサンプリングするときに,代表性を確保できるのかを確認するための確認方法を提案することが出来た。最終年度は,この枠組みの元で,高炉水砕スラグや製鋼スラグ,都市ごみ溶融スラグ,コンクリートがら由来の再生砕石などを対象としたばらつき調査を行うとともに,そのデータに基づき,必要な検体数を明らかにする予定である。さらには環境安全品質におけるリスク評価を適切にするために,分析データと有効利用基準値の関係から,リスク評価に基づいた適切なサンプリング手法を提案する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
循環資材の中でも使用量の多い,鉄鋼スラグ,特に粒度分布の幅の大きな製鋼スラグを対象とした研究により,鉄鋼スラグ中のフッ素濃度のばらつき調査とサンプリング手法の提案を行いたい。ただし実験の実施および実験成果の公表にあたっては,試料提供メーカーとの調整が必要であることが予想され,鉄鋼スラグ協会などと調整していく予定である。また社会的に影響が大きい循環資源として,新たにコンクリートがら(コンクリート構造物の解体物)から製造した再生砕石を対象に検討する予定である。有害物質としてはコンクリートに由来する六価クロムに注目し,ばらつきの程度,サンプリング手法について提案する。製鋼スラグや再生砕石などの循環資材のリスク評価に当たっては,試料粒径と環境安全品質の関係についても検討する予定である。
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Research Products
(7 results)