2015 Fiscal Year Research-status Report
粘性マスダンパー付き免震建物の最適設計手法開発と振動台実験による有効性の検証
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15K06284
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
池永 昌容 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50552402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十子 幸樹 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (20521983)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 免震構造 / 粘性マスダンパー / 最適設計手法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、本研究計画の中で数値解析に関する一連の検討を行った。 まず数値解析を行うにあたって、免震建物モデルの設定を実在の免震建物などを参考に作成し、それに対する事前解析による検討から設定モデルの妥当性を検討した。その上で、本研究の骨子である粘性マスダンパーの解析モデルを作成するとともに、最適設計手法を行うためのプログラム製作を行った。 その後、複数種類の地震動に対する粘性マスダンパー付き免震建物の応答特性を、一般的なオイルダンパーを用いた場合の応答特性との比較しながら検討した。まず最適設計手法を用いる前段階として、3種類のダンパーパラメーターに対するパラメトリックスタディを実施し、粘性マスダンパーの大まかな特性把握を目指した。ただしパラメトリックスタディの結果は芳しく無く、結果としては最適設計手法を用いざる負えないことを立証する結果となった。 最適設計手法を用いた検討では、逐次二次計画法を用いた最適設計手法を3種類の設計変数と3種類の制約条件、そして1つの目的関数に関する最適設計問題を立て、それらを製作したプログラムで解いた。その結果、逐次二次計画法における利点である非線形性に対する頑強性から最適解は求めることができたが、弱点である多峰性の問題も浮かび上がり、結果として最適設計解が複数種類導出される結果となった。 以上の結果について、実務設計者からの意見も取り入れつつ、実現可能である設計解を選定することができた。ただし、最適設計手法については今回試行した逐次二次計画法のほかに遺伝的アルゴリズムを用いた手法も考えられ、次年度はまずそれを試行し、最適設計解についてのより明確な解を模索していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画における解析部分について、その解析プログラムはすでに製作が修了しており、その結果についても一定の成果が得られたものと判断している。ただし、得られた最適設計解については改善の余地があることも本年度実施したパラメトリックスタディ結果より明らかになっており、まずは本研究の基盤となる数値解析結果についてより深い知見が必要であると判断した。そのため、本年度で終了する予定であった数値解析を来年度前半でも続けて実施することを鑑み、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まず最適設計手法について本年度用いたのと異なる、遺伝的アルゴリズムを駆使した手法による最適設計解探索を実施する。当初予定にはこの項目は入っていないものの、本年度の知見を利用しつつ進めることで、次年度前半には終了するものと考えている。 この数値解析結果を受けて製作するダンパーについては、次年度前半から基礎設計を開始し、その後最適設計解の検討終了時の結果をそのまま反映させる体制をとる。これによりダンパー製作期間を短縮しつつ、より目的に即した動的加力実験が行えるものと考えている。 また、最適設計解については複数種類の解が想定されることも明らかになったため、製作するダンパーについては可能であれば性能を調整することができる機構も追加することで、動的加力実験における適用性拡大も考えている。この機構については現在、ダンパーメーカーと打ち合わせを始めているところである。
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Research Products
(2 results)