2016 Fiscal Year Research-status Report
火災加熱を受ける床板のメンブレン効果に関する実験的研究
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15K06285
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
平島 岳夫 千葉大学, 大学院工学研究科, 教授 (20334170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 孝一 千葉大学, 大学院工学研究科, 准教授 (10125958) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | RC床板 / 火災 / メンブレン挙動 / 載荷加熱実験 / 最大耐力 / 熱たわみ |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,16体の鉄筋モルタル床板試験体を用いて一定荷重下での温度漸増実験(載荷加熱実験)を実施し,一定荷重下で加熱を受けた場合の熱たわみ挙動および破壊時の下端筋温度について調べ,鉄筋モルタル床板の火災時メンブレン挙動と荷重支持能力の関係について考察した。実験条件は,床板厚さ,荷重レベル,床板端部の境界条件とした。ここで,載荷治具と予算の都合により,当初予定していた2辺のアスペクト比を実験条件に加えることまでには至らなかった。その結果を以下にまとめる。 1)二方向床板の場合,荷重無の加熱時では100℃付近でのたわみの停滞が見られたが,荷重有の場合はそれが見られなかった。一方で,荷重の有無および荷重レベルの違いが400℃までの熱たわみに及ぼす影響は比較的小さかった。二方向床板の400℃までの熱たわみ量は,一方向床板の熱たわみ理論値と近い値を示した。 2)一方向床板の高温耐力低下に比べ,二方向床板の場合は,高温時の耐力低下が小さかった。二方向床板の上面ではメンブレン挙動時に発現する同心円上のひび割れが見られた。二方向床板端部での上方向変位拘束が最大耐力に及ぼす影響は見られなかった。 3)板厚30mmと60㎜の比較では,30mmの方が,熱たわみが大きく,より明確なメンブレン挙動を示し,400℃~600℃における耐力低下が小さかった。鉄筋の常温時短期許容応力度を降伏線理論に適用して求めた崩壊荷重に対して,2方向床板の最大荷重はかなり高い値を示し,それを下回るときの床板の下端筋温度は,床板30mmでは600℃以上,床板60㎜では500℃~600℃であった。 以上,2方向RC床板の火災時メンブレン挙動および火災時耐力に関する基礎資料を蓄積し,その評価方法について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初に予定していた実験が概ね順調に終了し,2方向RC床板の火災時メンブレン挙動および火災時耐力に関する基礎資料を蓄積できた。また当初に期待していた火災時メンブレン効果も見られ,2方向床板の火災時耐力評価を検討するためのデータも得られた。一方,400℃以下で破壊した試験体では,一部でコンクリートの圧壊で耐力が決まった試験体があり,鉄筋比をさらに小さくした試験体での追加実験の必要性が出てきた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は本研究の最終年度として,2方向床板の火災時耐力の評価方法について更なる考察を加え,鋼構造の耐火設計に床板のメンブレン効果を組み込むことの有用性を示す。 また鋼構造耐火設計への適用に向けて,鋼梁をも含む実仕様・実大規模の床システム試験体を用いた載荷加熱実験を計画する。 前年度の実験結果より鉄筋比をさらに小さくした試験体での実験を行う必要性が明らかになったため,2方向床板の追加実験も行う。
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