2015 Fiscal Year Research-status Report
任意寸法の軸組を対象とした筋かい耐力壁の性能設計実現に向けた基礎研究
Project/Area Number |
15K06287
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
中尾 方人 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 特別研究教員 (60323937)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 在来軸組構法 / 筋かい耐力壁 / 筋かい金物 / 要素実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、木造住宅で用いられる一般的な筋かい耐力壁を対象として、(1) 任意の壁長(柱間隔)、任意の横架材間距離、任意の筋かい金物における荷重-層間変形角関係を、増分解析で得られるようにすることを目的とする。また、(2) 筋かい耐力壁に必要な復元力特性が与えられたときに、それを実現できる筋かい端部と軸組との接合方法およびその設計法を開発する。最後に、(3) 応用として、ほおづえタイプ、K型など、特殊な配置の筋かいについても、増分解析での荷重-変形角関係が得られることを確認する。これまで、筋かい耐力壁については、その耐荷機構について、あまり研究の対象とされてこなかった。本研究は、筋かい耐力壁の荷重-変形角関係を数値解析で求められるようにし、性能設計を可能することを目指した基礎的研究である。初年度となる当年度においては、以下の検討を実施した。 (a) 市販されている筋かい金物の調査 現在広く入手可能な筋かい金物を調査し、抵抗機構や構造性能の観点から、L型、プレート型、ボックス型が存在することを確認し、それぞれ典型的なものを選定した。 (b) 筋かい耐力壁のせん断加力実験 それぞれの金物を壁長が1P、1.5P、2Pの片筋かいを有する軸組に取付け、筋かいに引張力が作用する側と圧縮力が作用する側について別々に単調加力実験を行った。 (c) 筋かい端部-軸組の接合部引張および圧縮試験 (b)の試験体から、筋かい端部と軸組とを筋かい金物で接合した部分試験体を製作し、筋かいに引張および圧縮力を載荷する要素試験を行った。 (d) 実験結果の検証 「筋かい耐力壁のせん断加力実験」と「筋かい端部-軸組の接合部引張および圧縮試験」の結果を比較し、概ね、両者は対応することを確認できた。従って、今回行った「筋かい端部-軸組の接合部引張および圧縮試験」の方法は適切であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験を効率よく実施するために計画を再検討した結果、「筋かい耐力壁のせん断加力実験」と「筋かい端部-軸組の接合部引張および圧縮試験」の順序の入れ替えや、同じ軸組で1P、1.5P、2Pの実験を実施するようにしたことで、試験体数などに変更が生じたが、目的を達成するための十分な成果は得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
当年度の研究は、おおむね予定どおり進行したが、データベース作成のために必要なデータは十分ではない。これまでに得られた成果をよく検証し、まず、不足しているデータを把握する。そして、今後の研究計画を再検討したうえで、次年度の研究を実施する。
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Causes of Carryover |
当初、電動油圧ポンプを購入予定であったが、現有品を修理して使用するようにしたこと、また、試験体数に変更が生じたことなどにより、若干の次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主として、次年度分の物品費に合わせて使用する予定である。
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