2016 Fiscal Year Research-status Report
中小規模空間構造と非構造材の統合型制振によるパネル材等の落下防止と耐震社会の実現
Project/Area Number |
15K06290
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
石川 浩一郎 福井大学, 学術研究院工学系部門, 教授 (50168192)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 二層立体トラス壁構造 / ヒューズ型接合部 / 非構造部材 / ガラスパネル / 弾塑性地震応答解析 / 部材座屈 / 動的崩壊機構 / 靭性破壊 |
Outline of Annual Research Achievements |
幼稚園や保育園の遊戯室、学校体育館、スポーツホール等の10mから60mほどまでの中小規模空間構造における非構造要素パネルすなわちガラスや木毛セメント、ALCのパネル、在来金属系下地天井のパネル等を対象とする。そして、本構造が極大地震を受けた時にそのパネルの崩落から生命を守る人的安全性について保障することを研究の主な目的としている。 平成28年度の研究実績は以下のとおりである。二層立体トラス構造は一般に軽量で曲げ剛性が高いことから、大スパン建築物における屋根構造や壁構造にしばしば用いられることがある。しかしながら、最大耐力以降において溶接部破断や部材座屈といった脆性的な崩壊が生じ、さらに個々の部材の脆性崩壊が連鎖的に進展することで構造全体の急激な耐力低下による崩壊やガラスパネル等の二次部材の落下につながる恐れがある。そのため、安全限界レベルにおいても許容応力度を用いた弾性設計を採用することが多いものと考えられる。本研究では、ヒューズ型接合部を有する曲面形二層立体トラス壁を対象とした。そして、本構造の弾塑性地震応答解析を行い、弾塑性地震応答性状における動的崩壊機構について解明した。また、等価周期を用いた応答スペクトル法による応答予測法の提案及びボルト塑性率、構造全体の塑性率を限界値とした本構造の耐震性能評価法の提案を行った。すなわち、鋼製ボルト降伏先行の曲面形二層立体トラス壁の地震応答性状と動的崩壊機構の分析・検討をふまえて、限界値と応答予測に基づく耐震性能評価法を提案した。また、提案法と弾塑性地震応答解析を比較・検討して提案法の妥当性や実用性も示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究目的・目標や実施計画と本研究実績を照合した結果、概ね計画通りに実施できていることが発表論文等により確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、ヒューズ型接合部の破壊形式制御要素活用の推進を図る。そして、非構造要素と構造要素で統合した構造全体を研究の対象とし、損傷制御要素の駆使により非構造要素のパネルの落下防止を実現するために必要となる性能設計法すなわち、ヒューズ型接合による崩壊形式の制御法によるエネルギーの授受や等価静的地震力を解明する。これに基づきベースシア耐力係数等を提案するとともに、統合型制振システムを構築する。また、ヒューズ型接合を用いた璧型曲面形立体トラス構造の応答低減によるガラス等の非構造材の無損傷化を目指す。そして、構造・非構造要素の一体型の性能設計と耐震・安心社会の実現も推進する。
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