2015 Fiscal Year Research-status Report
鋼構造骨組における組立補強材を用いた部材接合システムに関する研究
Project/Area Number |
15K06296
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田川 浩 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70283629)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 接合部 / 組立補強材 / 鋼構造骨組 / 載荷実験 / 耐力評価 / 有限要素解析 / 山形鋼 / 耐震補強 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では鋼構造骨組における部材間の接合システムに着目し、構造性能だけでなく施工性等にも優れた組立補強材による新しい接合形式を構築することを目的としている。平成27年度は、(1)H形鋼柱とH形鋼梁が非交差となる場合の接合法の開発、(2)方杖(knee-brace)とH形鋼梁との接合部における山形鋼を用いた補強工法の開発、(3)側面鋼板で補強されたスプリットティ形式接合の角形鋼管柱への適用に関する研究、を中心に研究を進めた。いずれも複数の鋼材で構成される接合要素を有する接合形式である。(1)で開発する接合形式は、柱を外壁面および外周大梁芯から外側に出すことで室内側には柱型を出さず床面積を有効に活用できる内部空間を実現すること等を意図している。実大のT字形部分骨組試験体による接合部の繰返し載荷実験を行い構造性能を明らかにした。さらに、有限要素解析により実験結果を再現するとともに、接合部剛性を検討する上で重要となる接合部各要素の回転角の推移等を分析した。(2)で開発する補強工法は、既存柱梁接合部の方杖による補強において一般に必要となるスチフナ溶接を不要とするために、高力ボルト接合されるリブ付き山形鋼等を補強材に用いるものである。補強された接合部の耐力評価式を構築するとともに、載荷実験により提案補強法の効果を明らかにした。(3)ではスプリットティを角形鋼管柱と梁との接合に用いた場合に生じる剛性低下を防ぐために側面鋼板を用いた補強を検討している。前年度に行った梁フランジ引張側接合部の載荷実験を有限要素解析によりシミュレートし各接合要素の挙動を分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次に示す各項目を遂行していることから本研究はおおむね順調に進展していると判断できる。 (1)H形鋼柱とH形鋼梁が非交差となる場合の接合形式を提案している。実大のT字形部分骨組試験体の載荷実験と有限要素解析により、接合部剛性や耐力等の性能や挙動特性を明らかにしている。 (2)方杖(knee-brace)とH形鋼梁との接合部における山形鋼を用いた補強工法を提案している。耐力評価式の導出と載荷実験により補強効果を明らかにしている。山形鋼のリブによる補強についても検討している。 (3)側面鋼板で補強されたスプリットティを用いたH形鋼梁と角形鋼管柱と接合部における梁フランジ接合部の挙動特性を有限要素解析により検討している。既往の実験結果との対応を分析している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)H形鋼柱とH形鋼梁が非交差となる接合部を有する骨組の構造特性を分析するため数値解析を実行する。その際、平成27年に実施した実大T字形部分骨組試験体の載荷実験および有限要素解析結果に基づく接合要素モデルを構築し、骨組構造解析の計算負荷の低減を図るとともに、接合部剛性が架構に及ぼす影響を分析する。必要に応じて追加実験を実施する。(2)ブレース部材と柱梁架構との接合部に対する補強工法を検討し、載荷実験および有限要素解析によりに補強効果を分析する。(3)側面鋼板により補強されたスプリットティ形式接合部の繰返し載荷時の挙動特性や接合部剛性等を検討する。各検討項目において明らかにした種々の挙動特性・性能を考慮して、接合部設計・補強設計に必要な情報を整理する。
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Research Products
(3 results)