2015 Fiscal Year Research-status Report
ロボット技術を活用した天井部の安全検査手法の実証実験
Project/Area Number |
15K06304
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Research Institution | Ashikaga Institute of Technology |
Principal Investigator |
仁田 佳宏 足利工業大学, 工学部, 准教授 (10318834)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 実証実験 / 目視検査 / 実構造物 / 天井ふところ内 / 天井 / 検査ロボット / 飛行船 / メカナムホイール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ロボット技術を活用した高所および狭所の安全性の検査手法の実用化を目的としている。そこで本年度は、問題点を明らかにすることを目標として、実構造物を対象とした天井ふところ内および天井部のロボット技術を活用した目視検査を実施した。目視検査の実施は、大学校内の大規模実験棟および神奈川県さがみロボット産業特区のプレ実証フィールドを対象に、天井ふところ内については、試作したWi-Fiカメラを搭載したメカナムホール検査ロボットを用いて行い、高所天井については、試作したWi-Fiカメラを搭載した小型無人飛行船を用いて行った。実証実験結果より、Wi-Fiカメラ搭載メカナムホール検査ロボットにより、天井ふところ内を簡便かつ効率よく検査可能であること、Wi-Fiカメラ搭載小型無人飛行船により、足場を組み立てることなく、高所天井部を効率よく検査可能であることを確認した。また、実証実験より明らかになった問題点として、次の3点があげらる。 (1)検査ロボットの状況および位置把握を、手動にてWebカメラを操作して行っているが、利便性を考慮すると、自動追尾機能を追加したWebカメラを用いて、検査ロボットの状況および位置把握を行う必要がある。 (2)天井ふところ内については、正確な図面が無い場合も多いことから、自動で簡易図面もしくは簡易な環境地図を作成できる必要がある。 (3)小型無人飛行船は、風などの影響により空中で静止することが難しい場合があるので、ドローンなどと組み合わせた新たな飛行機構の開発を必要とする。 研究成果については、査読付き国内シンポジウムとなる「平成27年度建設施工と建設機械シンポジウム」にて、発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度となる本年度は、ロボット技術を活用した高所および狭所の安全性の検査手法の実用化に際し、問題および課題点の抽出を大きな目的とした。そこで、問題点および課題点の抽出を目的として、神奈川県さばみロボット産業特区にて、実証実験を実施しており、主に次の3点の問題および課題点の抽出を行った。本年度の実証実験によりあきらかとなった問題および課題点としては次の3点となる。 (1)検査ロボットの状況および位置把握を、現状ではWebカメラを手動操作して行っているが、検査ロボットをWebカメラにて自動追尾して検査ロボットをの状況および位置把握を行う必要がある。 (2)天井ふところ内については、図面が残存していない場合や設備などの改修により設計図面と異なっている場合が多いことから、天井ふところ内の図面もしくは環境地図を作成できる機能が必要である。 (3)小型無人飛行船は、風などの影響を受け、ドローンのホバリングのように空中停止することは難しいため、飛行船とドローンを組み合わせた安全性を考慮した新たな飛行機構が必要である。 また、実証実験より、天井ふところ内については本研究で開発したWi-Fiカメラ搭載メカナムホール検査ロボットにより、高所天井については、開発したWi-Fiカメラ搭載小型無人飛行船により、足場などを組み立てることなく、効率よくかつ簡便に検査可能であることを確認した。 そのため、本年度は(2)おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度に明らかとなった問題および課題点の解決、検査ロボットと操縦者および検査員とのマン―マシンインターフェイスの開発および打音検査の代替システムの開発を主な目的として研究を進める。まず初年度に明らかとなった、(1)自動追尾カメラの開発及び適用、(2)簡易図面を自動で作成するためのアルゴリズムの開発、(3)飛行船とマルチローター機構の複合の3つの問題および課題点の解決を目的として行う。その際、(1)および(2)については、検査ロボットと操縦者および検査員とのマン―マシンインターフェイスにも関わる機能であることを考慮しながら問題および課題点の解決を行う。 次に、検査を行う際には検査ロボットを直接視認できない場合や震災時には操作に熟練していない技術者が使用する場合もあることを考慮しながら、マン―マシンインターフェイスの開発を行う。また、マン―マシンインターフェイスの開発では、あわせて、検査報告書作成のための有用なツールとなるよう、検査画像の位置を正確に把握して示すような機能についても開発を行う。 最後に、目視検査のみならず打音検査なども必要なことから、打音検査の代替として、検査ロボットにより通信機能を備えたセンサを天井ふところ内や天井部に設置するようなシステムの開発を行う予定としている。 また、研究計画を全体を通しての方針として、開発したそれぞれの機能やシステムについては、実構造物を対象とした実証実験を通じて検証することを考えている。
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