2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K06309
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
神田 亮 日本大学, 生産工学部, 教授 (00204800)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 慣性接続要素 / 風応答制御 / Dynamic Mass Damper / 超高層建築物 / 慣性効果 / 減衰効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,最終的にDynamic Mass Damperによる風応答制御を明らかにし,風外力のみならず地震外力も一つの制御装置で制御することを最終目的としたものである。その第一段階として、Dynamic Mass Damperの質量効果を醸し出す慣性接続要素に着目し,質量化による風応答の低減効果を調べた。想定した建物モデルは,30m×30m×150mの正方形角柱状の超高層建築物で,その建築物は,1次モードが卓越するとした1自由度モデルを仮定した。風外力は,1/300スケールの剛模型を用い,境界層風洞によりその風力を測定し,モーダルアナリシスの結果から,1時モーダル風力を求めた。求めた風力と設定したモデルを用いて,風応答解析を行い慣性接続要素の効果を調べてみた。加速度応答に関しては,慣性接続要素の慣性効果により明らかな加速度応答レベルの低減が見られた。速度応答に関しては,慣性接続要素の効果により若干の応答レベルの低下が見られたが,加速度応答ほど顕著ではなかった。変位応答は、慣性接続要素の副作用とも言うべき慣性質量の増加による建築物の固有周期の伸長ならびに減衰効果の低減によって慣性接続要素による慣性項の増加に伴い,応答レベルの増大が見られた。これらの現象は,現在対象としているのがDynamic Mass Damperの慣性効果のみであるため,最終的には,Dynamic Mass Damperの減衰効果を含めて克服できるものと考える。以上が平成27年度の本研究に関する研究成果の概要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
科学研究費により,空力振動モデルの改良,具体的に示せば,圧力センサーの増設によりより精度のよい風外力を測定できるようになり,得られた知見はより正確なものとなっている。また,風外力と建築物の応答の総合作用を含まない段階での,評価結果がより正確に得られたことで,風外力と建築物の応答の相互作用がある場合の正確な評価の足掛かりになると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は,風外力と建築物の応答に相互作用がない場合について,慣性接続要素の効果について実験などから評価を行った。平成28年度は,風外力と建築物の応答に相互作用がある場合の慣性接続要素の効果について検討する。方法は,ハイブリッド空力振動実験法を用い,2次元流ならびに3次元流について検討する。このような場合になると,建築物の応答の大小よりも,空力安定性について検討することになる。慣性接続要素を用いると建築物の空力安定性がどれだけ向上するか楽しみである。
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