2016 Fiscal Year Research-status Report
過冷却現象解消温度の確率分布に基づく熱力学的非平衡凍結水量予測モデルの確立
Project/Area Number |
15K06319
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
岸本 嘉彦 室蘭工業大学, 工学研究科, 助教 (30435987)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 過冷却現象 / 過冷却解消温度 / 瞬間的含氷率増加量 / 冷却速度 / 細孔構造 / 結露 / 熱水分同時移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
建築壁体に生じる凍害劣化の主要因と考えられている過冷却現象を確率的に考慮した耐久性予測モデルの開発の一環として,本研究では対象材料をモルタルに限定し,凍結温度(過冷却解消温度)の確率分布に基づき,任意の最低到達温度における瞬間的な凍結水量を確率的に予測する解析モデルの確立を目的とする。 昨年度までに実施した実験において,提案する確率モデルに必要となる独立変数(細孔構造,冷却速度,試験体サイズ)の影響について検討した。その中で,冷却速度が測定結果に及ぼす影響については,2回行った実験のそれぞれにおいて傾向が異なったため,本年度は3回目の実験を実施した。3回目の結果は1回目の結果に傾向が近く,結果に及ぼす影響については,材齢による細孔構造の緻密化の影響が大きいことが示唆された。 また,本年度は微小要素連続体の測定のための予備実験を実施した。各測定点の瞬間的含氷率増加量を算出するためには,他の測定点において生じた過冷却解消による温度上昇の影響を除去しなければならない。温度の測定結果を用いた三相系熱水分同時移動解析を用いて,この影響を除去する方法について検討した。さらに予備実験においては,微小要素連続体と装置冷却面の間に結露が生じ,凍結の際の潜熱放出が測定結果に悪影響を及ぼしていることがわかった。そのため実験槽の密閉方法を改善し,結露の発生を防止できていることを確認した。 今後は,微小要素連続体の測定を実施し,三相系熱水分同時移動解析に確率モデルを組み合わせたモデルを新たに構築し,測定結果と計算結果を比較することにより,構築したモデルの妥当性を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定と異なる点は,昨年度から引き続き,実験の再現性,特に冷却速度の影響に関して,さらなる再実験が必要となったこと,次に,微小要素連続体を用いた実験に際し,測定結果に悪影響を及ぼす予期せぬ結露が生じ,実験方法の改良を実施したこと,最後に,本学が有するマイクロコンクリートカッターでは微小要素連続体の作製の際に,長辺方向の精度を確保できなかったことが挙げられる。現在は,いずれも解決済みであり,その後は順調に研究を遂行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
提出している計画書に従い,4)微小要素連続体の凍結温度の確率分布の取得と解析モデルによる比較・検討を行う。特に,従来の三相系熱水分同時移動解析に提案する確率モデルを追加し,測定結果に基づき,相互干渉の影響,潜熱放出伴う熱伝導の影響について検討する。目指す成果は,微小要素連続体に対して,任意の最低到達温度に対する瞬間的含氷率増加量の発生確率を予測するモデルの構築である。
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