2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K06321
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
宗方 淳 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80323517)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋田 剛 東京電機大学, 未来科学部, 教授 (40318168)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 変動照明 / NIRS / 色温度 / 脳血流量 / オフィス / Weberの法則 / 知覚 / 照明器具の位置 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の研究計画に沿って変動照明の①心理知覚の検討と②生理反応の検討を行った。 ①心理知覚の検討では下記の3点の検討を行った。照明器具の位置の違いが知覚率に及ぼす影響については、被験者席の正面にある席の真上の照明器具の影響が大きいことが示された。照明器具の光色が変動知覚に及ぼす影響の検討も行った結果、光色そのものの影響というより、作業に用いるPC画面の光色との差異が影響する可能性が見出された。また、変化そのものを従来の線形変化ではなくWeberの法則に沿った曲線的な変化で行ったところ、知覚率の低下には効果がないものの変化の気になりを減らす可能性が見出された ②の生理反応の検討では、これまで照明の短期的な変動が人の心理生理的な影響に関する知見の蓄積が殆どされていないため本年度は基本的な検討を行った。ここではNIRS(Near Infrared Spectroscopy)という近赤外光を用いた非侵襲な脳血流量推定手法に着眼した。まず、照度を変化させず一定とした場合について同様に脳血流量を検討したところ、安静時は低照度のほうが高照度に比べて脳血流量が低下するものの、作業時には低照度のほうが脳血流量の増加が認められた。また、先行する研究で行った変動照明検討と同一の条件(昼光色)でNIRSを適用したところ、開始照度と終了照度の差や変化率は前頭前野の脳血流量を変化させていることが示された。更に、NIRSの検討においても光色の影響を見るために電球色の光源で同様の検討を行った。その結果、開始照度と終了照度及び変化率の違いによる主効果や交互作用は昼光色と同様の結果が得られた。また、心理評価と生理反応の間に違う傾向が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の実施計画書で示した心理知覚の検討と生理反応の検討の双方の大きなパートごとに、平成27年度は概ね網羅的な検討を行えた。結果の中では当初の期待と異なるもの(曲線的な変化の効果)や心理評価と生理反応の間の異なる傾向なども得られている。例えば、Weberの法則による曲線的な変化の効果の効果が見られなかったのは、照度の変化量が小さいことが考えられる。実際の照明制御の場においてより小さい照度まで減光する場合には異なる結果が期待される。また、心理評価と生理反応の傾向の違いは、これまで心理評価のみで行ってきた検討の問題があることも示唆される。これらの持つ意味の検討を次年度も継続して検討することが必要となる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の実施計画書に沿って、次年度は在席検知制御も踏まえた変動照明実験を行う。この検討における人の動きの要因の導入は、在室者の無意識下で照明の変動を予期させるトリガーを変動の直前に設けるというモデルとなる。従って、検討においては実際の人感センサーを用いる場合だけではなく、変動を予期させるトリガーをモデルとして用いる場合についても検討を行う。また、実験室実験のみではなく、研究協力を得られる実際のオフィスにおける試行的な実運用を行い、前年度までの成果の検証も行うことを検討する。これらの検討は心理評価と生理反応の検討の双方も加える。
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Causes of Carryover |
当初の実施計画案で申請していた光イメージング装置が最終的な交付金額との差により購入が出来なくなり、本装置関連の実験は研究分担者の所有する装置のみで行うこととなった。一方、装置の購入予定金額と実際の交付金額の差は実験のための照明装置を追加で購入に当てたが、最終的には残額が残り、次年度使用額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の検討で脳血流量に関して有用な成果が得られたため、平成28年度も継続して検討を進める。同時並行で実験を行うための実験装置が購入できなかったため、この検討は既存装置のみで行うこととなり、結果的に実験の試行の回数を増やす必要がある。次年度では、この追加の実験に要する被験者謝金や補助者謝金への支出も計画している。また他の支出としては、トリガーを含めた検討のための実験や実際のオフィスにおける試行調査における機材購入費や被験者謝金及び補助者謝金への支出、学会論文の投稿費や出張旅費の支出等を計画している。
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Research Products
(6 results)