2016 Fiscal Year Research-status Report
乱流解析結果に基づく簡易な初期火災性状予測モデルの開発
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15K06322
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
永井 久也 三重大学, 工学研究科, 教授 (40283402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北野 博亮 三重大学, 工学研究科, 准教授 (80293801)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 初期火災性状 / フィールドモデル / ゾーンモデル / ボイド空間 / 排煙方式 |
Outline of Annual Research Achievements |
建築物の火災安全設計では、建築空間における火災性状の予測がまず基本となり、この予測には対象とする空間等に応じて、フィールドモデルおよびゾーンモデルの2種類の解析手法が用いられることが一般的である。このうち、ゾーンモデルは建築空間を一様な性質を持つ1つまたは2つの検査体に分けて予測するものであり、その予測精度はフィールドモデルに劣るものの、その簡便さから設計実務についてはゾーンモデルが一般的に用いられており、特に初期火災性状予測には2層ゾーンモデルが広く用いられている。本研究では、CFDを用いたフィールドモデルによる初期火災予測結果を利用したより予測精度の高い2層ゾーンモデルの開発を最終的な目的としている。本研究の第一年度である昨年度は、ボイド空間を有する建築空間での初期火災性状を通常の非圧縮性流体を対象とした乱流モデルと簡易圧縮性流体乱流モデルの二つの乱流モデルにより数値的に解析し、火災時の熱煙流動における空気の密度変化による影響を定量的に検討した。その結果、一般的な形状のボイド空間では火災火源による発熱がボイド空間の換気性状に与える影響は比較的大きく、空気の密度の変化を考慮する必要性が高いことが明らかとなった。しかしながら、アスペクト比が2.0以下の比較的浅いボイド空間においては、火災による熱が比較的速やかに外部に排出されることから、この限りではないことも明らかとなった。また、フィールドモデルで初期火災性状を予測する際の煙層下端位置の決定法についても検討を行った。今年度は、昨年度の結果を踏まえ、以下の2つの検討を実施した。 ・ボイド空間火災の空間規模の違いによる火災時排煙性状の検討 ・CFDによる狭小空間における排煙方式に違いによる排煙性状の差異の検討
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、第一番目のボイド空間火災の空間規模の違いによる火災時排煙性状の検討、第二番目のCFDによる狭小空間における排煙方式に違いによる排煙性状の差異の検討について概ね順調に実施することが出来た。さらに、最終年度に実施予定の新しい簡易な2層ゾーンモデルの開発に有用な知見を得ることもできた。したがって、現時点では本研究は順調に進捗していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題最終年度である29年度は、ボイド空間火災時の初期火災性状を簡易に把握するために、これまで実施してきた検討をボイド空間規模および火災火源規模を変化させて検討し、ボイド火災時の排煙性状のより一般的な性状を明らかにする。また、比較的面積の小さい空間において適用可能な、簡易な初期火災性状予測モデルである新しい2層ゾーンモデルの開発を目指す。
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Causes of Carryover |
研究成果発表および関連研究の情報収集のための学会出席時の旅費において、航空機の料金が予定より安価であったこと等により予定額と若干の差額が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の旅費分に加えて使用する予定である。
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Research Products
(8 results)