2018 Fiscal Year Annual Research Report
Design method on environment and design elements in Japanese traditional houses under the effect of climate
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15K06337
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Research Institution | Aichi Sangyo University |
Principal Investigator |
堀越 哲美 愛知産業大学, 造形学部, 教授(移行) (80144210)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 縁側 / ひさし / 意匠 / 気候 / 地域性 / 宮崎県 / 住宅 / 緩衝空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、地域性風土性が伝統的住宅の形態意匠に影響を与えているかについて検証するため、県レベルでの地区特性による伝統的住宅の緩衝空間の形態意匠の特徴はどのようなものであるか明らかにすることを目的とし研究を行った。 縁側・ぬれ縁・土縁・土庇・出入り口および開口部・壁を住宅の緩衝空間の形態意匠を示す構成要素として取り上げ、これらの構成の様相が意匠性を表していると考え各要素の寸法を採取し基礎データとした。地理、地形的条件の多様性と人文的・歴史的にも地区的特徴を有する宮崎県を対象とし検討を行った。県内で選定された7地区での住宅の緩衝空間の構成要素を抽出し、その出現頻度を求めた。地区ごとの特徴が縁側・ぬれ縁・土縁・土庇の出現頻度およびその平均比率の値に現れた。すなわち緩衝空間の各要素の相対出現頻度は、宮崎県内全地区共に入口は高千穂町の一部を除き全戸に存在している。その他の開口部は30%の日向灘沿岸を除いて、ほとんどの地区に存在している。入郷地区を含めて北部の中山間地域ではぬれ縁が高い頻度で出現する。縁側は、西諸県郡高原町と日向灘沿岸では全戸に存在していた。他地域ではほぼ40%以下あるいは存在しない。土庇は入郷および西米良村に30%程度存在するのみである。土縁あるいはその類似形が高千穂町に見られた。 このデータを基に地区の分類を試みた。さらに気候条件を用いた地区分類も行った。すなわち気象庁AMeDASデータの宮崎県内の該当する地区における観測点の30年平年値の降水量、平均気温、最高気温、最低気温、平均風速、日照時間を用い地区分類を行った。その結果、緩衝空間の意匠の指標と気候条件による分類の両者の間に強い相関性が見いだされた。住宅の緩衝空間はその地区の意匠的特徴を示し、気候条件とも関係性を有する示唆を得た。
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