2017 Fiscal Year Annual Research Report
Effect of wind directional fluctuation on gas dispersion
Project/Area Number |
15K06343
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
道岡 武信 近畿大学, 理工学部, 准教授 (20371370)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 都市街区 / ガス拡散 / 風向変動 / 数値シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
風洞実験のように一方向に定常的に風が吹いている条件下では、既存の数値シミュレーションにより大気中のガス拡散が精度良く再現できることが確認されている。しかしながら、実際の大気中には風向変動のような大きなスケールの変動が存在しており、既存の数値シミュレーション結果が実際のガス拡散を再現しているのかはわからない。我が国の環境影響評価では1時間平均濃度が使用されることがあるが、風向変動はこの濃度に大きな影響を与える可能性がある。よって、風向変動の有無がガス拡散に及ぼす影響を明らかにする必要がある。 本研究では風向変動を考慮した数値シミュレーションを実行し、風向変動がガス拡散に及ぼす影響を検討した。昨年度までに、建ぺい率25%の立方体ブロックで形成された理想的な都市キャニオン内の気流・ガス拡散を対象に詳細数値シミュレーション(Large-eddy Simulation:LES)を実施し、風向変動が都市キャニオン内のガス拡散に及ぼす影響を検討した。その結果、風向変動は都市キャニオン上空の平均流や乱流強度に影響を与えるものの、キャニオン群の端のキャニオンを除けばキャニオン内ではほとんど影響がないことが明らかになった。 本年度は、都市キャニオン外の建物屋根面からガスが放出された場合、風向変動がガス拡散に及ぼす影響を検討した。その結果、屋根面から放出されたガスは、風向変動の影響を受けガス濃度のピーク値が小さくなる傾向にあるが、風向変動の有無によるガス濃度の変化は非常に小さいことがわかった。 以上のことにより、本解析で対象とした理想的な街区では、1時間程度の間の風向変動はキャニオン内のガス拡散に及ぼす影響は小さいことがわかった。
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