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2016 Fiscal Year Research-status Report

地域施設ストックの価値を人口分布,利用率,近隣ストックから評価する手法の開発

Research Project

Project/Area Number 15K06370
Research InstitutionTokyo Metropolitan University

Principal Investigator

吉川 徹  首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (90211656)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
Keywords期待来訪者数 / 離散選択モデル / 地域施設 / 公共施設 / 仮想都市 / 最適施設配置 / 移動距離 / ロジットモデル
Outline of Annual Research Achievements

仮想市街地におけるシミュレーションを通じてモデルを精緻化するとともに,最終年度に予定する実証研究のため,対象地域について検討した.
前年度のパイロットスタディの結果を受けて,より大規模な仮想市街地におけるシミュレーションによって,モデルの精緻化を行った.具体的には,従来の消費者余剰最大化と,昨年度に新たな指標として浮上した期待来訪者数最大化が,どのように異なった挙動を示すのかについて,双子都市を対象としてシミュレーションを行った.これは,申請者による既往研究によって,双子都市において距離減衰する利用者数を最大化する場合には,距離減衰が緩やかになるに連れて,やや跳躍的に最適立地がそれぞれの都市の中心近辺から双子都市の中間地点に変化することが明らかになっていることを踏まえたものである.この結果として,利用率が1/2になる距離と双子都市の間の距離の1/2の間の関係によって,それぞれの都市の中心に立地させるべきか,双子都市の中間点に立地させるべきかが分かれるという明確な成果が得られた.
さらに,都市モデルにおける距離と人口密度をどのように設定すべきかを検討するために,三次元都市において三次元ユークリッド距離を採用した場合で,水平方向移動を徒歩またはバス,垂直方向移動をエレベータとして,都市の各点から中心点への移動時間の平均値を最小化する都市形態を分析した.この検討には非常に複雑な計算を要するため,着手点として,たとえば郊外の鉄道沿線の都市など,二次元と見なしても良い場合を対象として最適な都市形態を探求した.またこの算出にあたっては,既往研究では無視されてきた,都市が多層の床からなっている事実を踏まえたモデルを構築し,最適形態を導出することに成功した.
対象地域は,データの豊富さと地域公共施設に関する問題が先鋭化していることを踏まえて,東京都多摩市を候補として実情を調査した.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

新たに見いだされた理論的検討が必要な課題に関して,非常に重要な進展があり,研究開始時の想定よりも理論的に妥当性が高い評価指標を定義する可能性が確認できた.とりわけて,従来から用いられてきた,平均距離,いわゆるログサム項である消費者余剰に対して,期待来訪者数が最適配置において異なった挙動を示すことを理論的検討で明らかにするのみならず,仮想市街地におけるシミュレーションの結果,その条件の一端が把握できた.これは重要な進展であると言える.また,利用者が最近隣距離を利用すべきかどうか,単純なロジットモデルで問題がないかどうか,マンハッタン距離を用いて問題がないかどうかについて,シミュレーションで確認できたことも重要である.

Strategy for Future Research Activity

モデルのさらなる精緻化と実証研究を行う.仮想市街地における理論的検討とシミュレーションを通じてモデルを精緻化するとともに,実証研究と成果の取りまとめを行う.
まず,前年度の理論的検討とシミュレーションの結果を受け,より精緻に最適配置を算出するため,さらなる理論的検討と大規模シミュレーションによって,モデルの精緻化を図る.着目点としては次が挙げられる.双子都市が広がりを持つ場合には,広がりを持たない場合にはそれぞれの都市の中心に配置すべきである地域公共施設を,双子都市の中間点に配置すべきであるという結果が最新のシミュレーションで観測されている.そこで,その切り替わりの条件を探求するために,広がりがある市街地を前提として広がりの指標と切り替わりの関係を明らかにする検討を進める.
このモデルの精緻化にあたっては,利用者が最近隣施設を利用する場合に限定して分析を進めることとする.さらに,当面はネスティッドロジットモデルを用いずに,単純なロジットモデルに限定した検討を行う.距離減衰を考慮した領域間距離の近似計算に関しては,既往研究の適用が可能と判断されたので,その得失を検討する.また,都市内の理論的距離として,マンハッタン距離を用いることの実用性が前年度までのシミュレーションから確認できたので,これを採用する.
続いて,過去に蓄積したデータを含めて,対象地域のデータ整備を行い,実証研究を行う.この実証研究にあたっては,東京都多摩市における集会施設(いわゆるコミュニティセンター)あるいは小中学校を対象と想定し,これまで整備した人口分布データや地域施設の位置のデータをも活用しながら,既存地域公共建築物の価値を定量化するプロセスを検証する.
最後に,以上の成果を取りまとめて,発表を行う.これに合わせて,成果を研究代表者のウェブサイトに掲載する等して,社会的な普及を図る.

Causes of Carryover

当初,大規模なデータ整備とシミュレーションなどを想定していたが,理論的に注目すべき着想である期待来訪者数の有効性検討の必要がさらに増したため,理論的検討に重点を置き続けた.このため,この分野の第一人者との討論が望みうる米国のオペレーションズリサーチの国際会議での発表を行う一方で,機器,データの導入を最小限に留めたため,特に実証研究に関する部分で次年度使用額が生じた.

Expenditure Plan for Carryover Budget

これについては,更なるシミュレーションに必要とされる機材導入,またデータ整備,実証研究と取りまとめ,発表に関する追加の費用としての謝金やウェブサイト作成費,論文発表経費,英語論文発表関連経費等に使用する.

  • Research Products

    (3 results)

All 2017 2016

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] 階層的な空間構造を持つ線状都市における階高を考慮した最適都市形態2017

    • Author(s)
      近藤赳弘,吉川徹
    • Journal Title

      日本建築学会計画系論文集

      Volume: 82 Pages: 677-687

    • DOI

      http://doi.org/10.3130/aija.82.677

    • Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
  • [Presentation] 利用率が距離減衰する地域公共施設の利便性の指標としての期待利用者数と消費者余剰の比較2016

    • Author(s)
      吉川徹
    • Organizer
      日本建築学会大会
    • Place of Presentation
      福岡大学(福岡県福岡市)
    • Year and Date
      2016-08-26
  • [Presentation] A Public Facility Location Planning Maximizing the Number of Visitors with a Visiting Probability Given by a Logistic Distribution2016

    • Author(s)
      Tohru YOSHIKAWA
    • Organizer
      Informs 2016 International
    • Place of Presentation
      Waikoloa, USA
    • Year and Date
      2016-06-12
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2018-01-16  

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