2017 Fiscal Year Research-status Report
担い手と営みの重層性に着目した文化的景観の記述手法とマネジメント手法に関する研究
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15K06374
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
佐久間 康富 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (30367023)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筒井 一伸 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (50379616)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 景観 / 文化的景観 / 記述手法 / 景観構成要素 / マネジメント / 担い手 / 他出子 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、引き続き河内長野市流谷集落を研究の対象として、集落空間の維持管理機能がどのような担い手によって支えられているのか、またその変遷を明らかにした。 集落空間を維持管理する担い手は、高齢化世帯が約9割を占める。担い手1世帯あたり、約2.3人の集落外担い手が関わっており、集落外の担い手は他出子を含む血縁・地縁者が73%、定住者と血縁・地縁の関わりがない他所者が17%であった。 担い手の変遷を以下の3つに分けて明らかにした。(1)集落内相互扶助期:高齢化世帯はなく、定住者の世代交代が集中して行われた。集落空間の維持管理を定住者間で協力して行っていた。(2)縮小期:人口は減少し、1/3が高齢化世帯になった。耕作地は世帯内で担うことが多い。(3)集落外関わり期:人口はさらに減少し、高齢化世帯が約9割となる。集落外の関わりが増加し、全体の4割近くをしめるようになる。以上のように、集落外住民の関わりが増えてきていることを明らかにすることができた。 人口減少社会の中で移住政策をはじめとした人口減少を緩和する取り組みが各自治体で行われているが、それだけでなく定住世帯の他出子をはじめとした地域に血縁・地縁を持つ担い手の参画によって、集落空間の維持管理の活動量を補完できるのではないか、ということが言われてきている。本研究によって、集落外住民による維持管理への関わりを集落空間と対応づけて実証することができた。 担い手のあり方を含めた景観マネジメント手法に向けて、こうした集落外住民の関わりが重要であることを再確認するとともに、参画意志があるにもかかわらずきっかけがない集落外住民に対して、そのきっかけの機会づくりが重要であるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果をとりまとめて公表する準備ができている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究成果をとりまとめて公表する予定である(日本都市計画学会での投稿を想定している)。
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Causes of Carryover |
おおむね順調に進捗してきたが、景観マネジメント体制の検討において、他出子を含めた多様な担い手による重層的な維持管理の可能性を把握する調査を行ったことにともない、次年度に学会投稿をする必要となったため。 次年度の使用計画として学会投稿費用、消耗品の購入を予定している。
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Research Products
(3 results)