2015 Fiscal Year Research-status Report
看取りの視点からみた特別養護老人ホームの空間利用実態と計画的課題
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15K06375
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
石井 敏 東北工業大学, 工学部, 教授 (90337197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
孔 相権 山口大学, 理工学研究科, 講師 (80514231)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 看取り / 特別養護老人ホーム / 静養室 / 死亡退所者 / ユニット型 / 従来型 / 個室 / ターミナルケア |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、特養における看取りと空間利用の実態を把握するためアンケート調査を実施した。東北6県、首都圏4都県、および中国5県に所在する全特養に対してアンケート調査を実施した。 調査は大きく2つから構成される。一つは各施設の看取り実施の状況把握である。過去3年間の死亡退所者数や施設内死亡か医療施設等の施設外での死亡の別、看取りのプロセスにおける施設の居室や諸室利用の実態を明らかにする調査である。もう一つは過去1年間の退所者について、個々の属性、看取り時の居室利用等について把握する調査である。 アンケート調査は平成27年11月に実施し3037カ所に送付、計899施設からの回答を得た。回収率は全体で29.6%だった。広域・地域密着別では広域型が2/3 を占め、従来・ユニット型別ではユニット型が4割となった。過去3年間の死亡退所者のうち、施設内(居室・静養室)での死亡割合は ユニット型では2014 年で52.4%(うち静養室0.4%)、従来型では同年で57.3%(うち静養室26.8%)だった。従来型では多床室から静養室に移動しての死亡が約半数を占めるものの、個室ユニット型と比較して、施設内死亡がより多いという結果となった。都県別ではユニット型では施設内死亡が80.3%を占める鳥取県から35.9%の埼玉県まで、従来型では施設内死亡が72.6%を占める鳥取県から39.8%の岩手県まで大きな差が出た。 また、施設別にその状況をみると、より対応の相違が顕著になった。ほぼ100%施設内での看取りを実施している施設と、反対にほぼ施設内での死亡がない施設と、その対応に大きな差が出た。 本調査を通して、特養における看取りの実態と空間の利用状況について明らかにすることができた。次年度以降の訪問ヒアリング調査実施にあたっての重要な基礎資料を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アンケート調査の実施にあたっては厚労省老健局高齢者支援課の協力をいただき調査依頼を行ったこともあり想定通りの回収率を得た。集計・分析作業については引き続き考察を行うべき内容もあるが、成果としては十分な内容を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
調査2年目は、初年度で明らかにした実態を踏まえて、10施設程度(個室型、従来型、地域密着型バランスよく抽出)に訪問してヒアリング調査を行うことにより、施設の考え方や方針と看取りの実際、看取りとそのプロセスにおける空間利用の状況や、その過程での家族、他の居住者、職員、そして医療機関との連携やその関わり、そのほか看取りに関わる諸課題について具体的に明らかにする。また、前年度の成果を論文(日本建築学会)として公表する予定である。
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Causes of Carryover |
アンケート送付に関わる実数が見込みと異なったため送料および集計に関わる経費が予定より少なくなったため残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
訪問ヒアリングを実施する調査対象の施設数および場所を調整し、残額と次年度使用額とをあわせて調査に有効に活用する予定である。
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Research Products
(3 results)