2016 Fiscal Year Research-status Report
日本、中国、韓国におけるバリアフリー環境とユーザー参加による整備評価に関する研究
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15K06381
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
高橋 儀平 東洋大学, ライフデザイン学部, 教授 (60058162)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 日中韓 / バリアフリー環境 / ユーザー参加 / 公共施設 / 都市環境 / 交通環境 / バリアフリー法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、中国及び韓国の障害者団体との交流及びインタビュー調査を中心に研究を行った。2016年9月には、北京で日中バリアフリーセミナーを開催した。このセミナーには、北京市建築設計研究院や北方工業大学の専門家4名と、北京市で活動する車いす使用者、視覚障害者が多数参加した。このセミナーを通して、北京におけるバリアフリー施策に関して、北京市障害者連合会以外の障害者(団体)の活動が判明した。11月にはソウル市内の障害開発院にて、韓国を代表する障害者団体である韓国脊髄損傷者連合会、韓国視覚障害者連合会のヒアリングより韓国における障害者のバリアフリー施策への参画状況について確認した。2017年2月下旬には北京市内4名の障害者を訪問し、移動や住まいについての問題についてインタビューを行った。この調査では、特に北京農村部の戸建て住宅と、都市部共同住宅での生活状況、北京の伝統的な四合院住宅で生活している障害者の生活実態を把握した。2017年2月上旬には、東洋大学で、日本、中国、韓国の今後のバリアフリー、ユニバーサルデザイン施策を考える合同セミナーを実施した。本年度の成果は次のようにまとめられる。 ①韓国では2015年7月のバリアフリー法改正で障害者団体が直接バリアフリー設計をチェックする制度が創設されて、新たな段階に入っていること。 ②ソウルの障害者団体の一部では、日本の関連情報を取り寄せながらバリアフリー化実態調査や提案を独自に進めていること。 ③北京では障害者の生活を改善する障害者支援団体が複数活動していること ④しかしながら、北京、ソウルの両都市ともに、障害者団体や障害者がバリアフリー政策に具体的にどこまで関与できているかは、さらに調査が必要であること。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調に研究が進んでいると判断する。しかしながら、バリアフリー化への各国の市民、障害者等の参加は多様であり、次年度もさらに中韓両国の障害者にインタビューを行っていきたい。また、現地調査で収取した法制度や障害者団体の資料分析が残されており、上記の判断とした。一方で、日中間の北京セミナー、及び東洋大学における日中韓のバリアフリー、ユニバーサルデザインセミナーが無事開催できたことは計画通りといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
上記、研究の進捗状況で記述したように、中国、韓国では障害当事者への直接的なインタビュ―を重ねていくことが難題ではあるが、最終年度に向けて必要なことと思われる。最終年度ではこれらの成果を基に、国内の障害者団体との議論も行っていきたい。さらに、日本、中国、韓国共にバリアフリー法、ガイドラインの改訂期に当たっており、その情報交換を適切に行っていく必要がある。
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Causes of Carryover |
①文献翻訳費の使用が出来なかったこと。②2017年2月に実施した国際セミナー「ユニバーサルデザイン日中韓特別セミナー」の計4名の招聘者旅費について東洋大学の海外共同研究助成費を使用することができたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
①2016年度入手した中国及び韓国のバリアフリー文献の翻訳費に充てる。②中国、韓国における障害者団体の海外追加調査に充てる
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