2017 Fiscal Year Research-status Report
日本、中国、韓国におけるバリアフリー環境とユーザー参加による整備評価に関する研究
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15K06381
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
高橋 儀平 東洋大学, ライフデザイン学部, 教授 (60058162)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 日中韓 / バリアフリー環境 / ユーザー参加 / 公共施設 / 法制度 / ユーザー評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は,助成最終年度として取り組んできたところであるが、一部作業遅れ等があり研究期間延長申請を行った。平成29年度はまず平成28年度までに実施した北京、ソウルでの現地調査の整理を行い、両国における障害当事者参加の困難性を明らかにした。特に北京では北京障害者団体連合会以外のNPO等の活動が当事者中心に広がりを見せてはいるが、多くの当事者は受動的であるといえる。特に都心部(市街地)と農村部の障害当事者の住生活、交通移動の格差は大きく、これが当事者参加意識にも影響を与えていると判断した。韓国ソウルでは、2015年の法改正で実現したバリアフリー法対象建築物を建築申請する際の当事者チェックの実態を調査しているが、韓国を代表する障害者団体からその状況をヒアリングしているものの、地域における具体的な現地調査はできていない。障害開発院でのヒアリングでは、バリアフリーを推進するいくつかの自治体でも当事者チェックに対する懸念があると指摘されている。2015年韓国バリアフリー法改正は全国の自治体に順次波及していくと思われるが、受託する当事者団体の受け皿が問われる。11月には上海同済大学での中国バリアフリー、ユニバーサルデザインセミナーに招聘され、天津大学、精華大学のバリアフリー専門家との研究交流を行った。上海セミナーでは中国全土におけるバリアフリー状況の現時点での最新情報を把握できた。12月ソウルではユニバーサルデザイン国際セミナーに招聘され、日韓米の状況確認を行い、同時に韓国を代表する障害者団体のバリアフリー意向調査を実施した。日本では平成29年春からバリアフリー法改正や省令基準・ガイドラインの改正検討会に参加したほか、研究代表が関わる渋谷区、北区におけるバリアフリー基本構想協議会で障害当事者参加の課題について状況を取り纏めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究課題の進捗状況としては、中韓両国でバリアフリー研究者・関係機関との交流を順調に行うことができているが、現地における障害者のバリアフリー参加調査は相手方との調整・合意が不十分なため実施できていない。ここでは今後バリアフリーの進展、発展に不可欠な地方公共団体レベルの状況、または単体施設レベルでのバリアフリー計画への参画実態を明確にしていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
日中韓の障害者参加によるバリアフリー推進と当事者チェック体制の実態を調査する。特に韓国ではバリアフリー法で規定された障害当事者参加の運用上の課題を明らかにする。北京ではNPO団体のバリアフリー参画実態調査を継続する。この中で北京市障害者団体連合会とそれ以外のNPO団体との役割の相違点を見出したい。以上を取り纏めたのちに日中韓の障害者参加を比較検証し、課題を取り纏める。 加えて平成30年度は可能な範囲で中韓両国からバリアフリー専門家又は当事者を招聘し研究交流を図りたい。
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Causes of Carryover |
①次年度使用額が生じた理由:第一に研究活動における中韓両国の研究協力者との研究交流(国際セミナーを含む)を行ったがいずれも相手方の招聘費によって賄われたこと。第二に、中韓両国における現地調査について、先方機関・自治体との未合意・未調整等により海外調査が延期されていること。第三に、上記の理由による研究遅延であること、である。 ②平成30年度使用計画:上記の理由により、主に中韓両国における海外調査旅費として使用する予定である。韓国(ソウル他)では6月から7月、中国(北京他)では9月から11月にかけて予定している。使途としては旅費、コーディネーター費等に充てるが、現地研究協力者との調整により、一部国内障害者団体訪問調査旅費等に充てる計画である。また本研究に関係する文献翻訳費用としても使用する。
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