2017 Fiscal Year Research-status Report
結核療養所における生活環境と建築計画史に関する研究
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15K06390
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyota College |
Principal Investigator |
亀屋 惠三子 豊田工業高等専門学校, 建築学科, 准教授 (70462140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 純一 日本女子体育大学, 体育学部, 教授 (10389869)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 旧結核療養所 / 立地 / ブロックプラン |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は旧結核療養所の立地分析および建設時期によるブロックプランについて考察を行った。 調査方法は現在残されている希少な資料を国立国会図書館、結核研究所図書室、公文書館、その他公立図書館などで探索・依頼を行いできる限り収集して分析を行った。不明な所については、各自治体・統合後の新病院などに問い合わせを行い可能な限りの資料収集に努めた。実際に建てられた結核病床を持つ療養所がどのような立地で建てられたのかを明らかにするため、1960年の経済地帯による都道府県の市町村分類(①大都市②都市③平地農村④農地⑤山村)に従い、療養所の住所を当てはめた。その後、分類結果を大都市・都市(①②)、平地農村(③)、農地山村(④⑤)の3段階に整理し、結核病床のみの療養所と結核病床を有する療養所ごとに分析を行った(約700施設を対象)。ブロックプラン分析については、第一期を1887年まで、第二期を1888年~1920年、第三期を1921~1945年、第四期を1946年~とし以下では時期によるブロックプランと平面構成に関する分析を行った(ただし、第一期は収集図面無し、90施設対象)。なお、ここでは既往論文を参考に、パビリオン型、コリドー型、個形型に主に分類し分析を行った。 その結果、1)旧結核療養所の立地は1926年以降に、都市部への立地が相対的に減少し、平地・農山村の割合が高くなる傾向がみられた。設立主体別では国立の療養所において郊外型の施設が多く確認されたことが明らかとなった。2)収集できた資料におけるブロックプランの特徴としては、時代を問わず、パビリオン型の公立の療養所が大半を占めた。第二期(~1920年)は私立(その他)の個形型とパビリオン型の二つの形式がみられるものの、第三・四期になるに従いパビリオン型が増え、機能分科が進んだことが事例において確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
図面の収集に時間を要したが、収集に力を入れたこともあり90施設の図面を手に入れることができた。立地分析については、当時に近い経済地帯分析を用いて、客観的に大都市、都市、平地農村、農地、山村の5つの指標に当時の結核療養所の住所を当てはめて分析することができた。今後はブロックプランを深く分析することを計画しているが、その前に収集図面のCAD化を目標としており、それには少し時間がかかる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
できる限りの図面をCAD化し、ブロックプランを時代の特徴と共に整理していく。時代の流れとともに、ブロックプランの類型化を行い、より建築計画的な視点で分析を試みる。その後、建築要素を共通事項と特別事項とに分け、それらが生まれた原因を建築計画的に解明し、「療養の素形」となる要素を明らかにする。
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Causes of Carryover |
図面収集を行おうとしたが、分析等で手が回らず、遠方に収集しに行くことができなかった。今年度はうまく使いきれなかった旅費を資料収集に充てて、より詳細な分析を行うことができるように計画していきたい。
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Research Products
(1 results)